Photo : Masanori Naruse

ポーター・ロビンソン&マデオン 一夜限りの来日公演ライブレポート!

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10年前に出会ってから、互いにエレクトロニック・ミュージック・シーンの最前線で活躍する天才アーティストとしてキャリアを歩み、良き友人、そしてライバルでもあるポーター・ロビンソン&マデオンが、2016年10月に発表した初のコラボレーション楽曲「シェルター」、そして同曲を収録した豪華日本独自パッケージ『シェルター:コンプリート・エディション』を引っ提げ、昨日2月21日(火)にZepp DiverCityで一夜限りの来日公演<シェルター・ライヴ・ツアー>を開催した。

●ポーター・ロビンソン&マデオン<シェルター・ライヴ>レポート
2017年2月21日(火) Zepp DiverCity

2月21日、東京・Zepp DiverCityにてポーター・ロビンソン&マデオンの一夜限りのライブ『シェルター・ライヴ・ツアー』が開催された。とても感動的な、眩しい光の渦に包まれるようなステージだった。エレクトロニック・ミュージックのスタイルではあるのだが、ライヴのスタイルも、フロアのムードも、いわゆる“EDM”のそれとは全く違う。歌の持つ力が、そのセンチメンタルな情感が、ダイレクトに伝わっていた。

イントロから大歓声に迎えられ、ポーターとマデオンの二人がステージに登場すると、1曲目の「Shelter」でいきなりのクライマックス。ポーターとマデオンの二人もマイクに向かって歌い、オーディエンスからも大合唱が巻き起こる。

ポーター・ロビンソン マデオン
Photo : Masanori Naruse

二人のパフォーマンスはDJスタイルではなく、キーボードやシンセパッドなど様々な楽器を巧みに演奏しながら歌うライヴスタイル。セットリストには「Sad Machine」や「Flicker」、「Finale」や「Imperium」など二人の楽曲が並び、そこに様々な曲をマッシュアップしていく展開だ。ときに身体中が震えるような重低音のビートが鳴り響き、ときにピアノと歌だけのシンプルな演奏になる。めまぐるしく曲調が移り変わる。

背後には計3面の巨大なヴィジョンが置かれ、アニメーション絵柄のキャラクターや幾何学的な模様などがリズムと完璧に同期した形で映し出される。二人の横にはLEDとフラッシュライトが積み上げられ、照明もあわせた光の演出が繰り広げられる。サウンドとヴィジュアルが完璧にリンクしたステージだ。

ポーター・ロビンソン マデオン
Photo : Masanori Naruse

「日本のみんな、本当に愛してるよ!」

そうポーターが叫び、「Divinity」では銀テープが舞い、ピンク色の照明にフロアが包まれる。終盤は「僕が一番好きなマデオンの曲だ」という「Beings」、そして「Pixel Empire」「Fellow Feeling」と続ける。ドラマティックなメロディ、ファンタジックで幻想的な映像で、大きな多幸感に包まれる。そしてラストは「Goodbye To A World」。背後のビジョンに歌詞が映し出される。最初に置かれた「Shelter」も対応し、このステージ全体にストーリー性があったこと、そこで描いた物語の背景にどこか黙示録的な“終末”のイメージがあったことを示して本編は終了した。

アンコールは再びの「Shelter」。ステージに現れた二人はオーディエンスに手を振ると、中央に設けられたキーボードとマイクへ向かい、ポーターの弾くシンセに乗せてマデオンが歌い上げる。

「最高だ、ありがとう!」。二人は肩を組み、そうオーディエンスに呼びかけて、ステージを降りた。とてもエモーショナルな、胸を揺さぶるようなステージだった。

ポーター・ロビンソン マデオン
Photo : Masanori Naruse

ツアーはすでに世界中で絶賛を浴び、多くのミュージシャンが称えている。2人は4月に行われるコーチェラ・フェスティバルにも出演する。おそらくそこでも大きな反響を巻き起こすだろう。後々にも語り継がれそうな一夜になったと思う。

文=柴那典(音楽ジャーナリスト)

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