【サマソニ東京ライブリポート】KELELA

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私個人が観た範囲では、サマーソニック初日のベストアクト。昨年リリースされたデビューアルバム『Take Me Apart』が方々で喝采を浴びていたが、ライブの実力はその評価に勝るとも劣らないものであった。
 CD音源とほとんど変化がない歌声に、ストイックな編成。VJはおらず、Kelelaの他にはDJ(マニピュレーターかも?)とライティングのみ。このライティングが大変素晴らしかった。音楽だけでなく彼女の体の動きともリンクしており、極めて立体的なパフォーマンスが展開された。

オープニングの『LMK』の時点で完成度の高さが窺い知れる。『Take Me Apart』に収録されている曲に限らず、ミックステープの『Cut 4 Me』やファーストEP『Hallucinogen』からも数曲披露した。『Go All Night』や『Bank Head』がこれほどステージ映えするとは完全に予想外である。アブストラクトで一聴すると敷居の高そうな音楽に思われるが、生音で聴くと一変。全方位に刺さるパフォーマンスを展開してくる。UKの老舗レーベル<Warp Records>に所属するアーティストは、この手のアプローチが本当に得意だ。Kelelaも例外ではなかった。『Blue Light』や『Frontline』はもちろん素晴らしかったが、とにかく圧巻だったのは『Rewind』。硬いビートと、コケティッシュなKelelaの歌声が印象的だ。前者二曲は名高い『Take Me Apart』のトラックで、後者は『Hallucinogen』からの一曲である。『Take Me Apart』が好評の理由は、エクスペリメンタルなR&Bをメインストリームに昇華させたことにあったが、実は『Hallucinogen』でもその片鱗は見えていた。それを知ることができたのが、今回のサマーソニックにおける一番の収穫である。
 四の五のくどくなってしまったが、言いたいことはシンプルにひとつ。素晴らしいライブであった。これを機にぜひまた日本に来て欲しい。今度はエクスペリメンタルな部分もしっかり見られる、小箱でお願いします。