【ソニックマニアライブリポート】KASABIAN

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「UKロックは死んだ」と言われてからずいぶん経つが、最近はいよいよ本格的に「UK」と「US」という概念が消失しつつあるように思う。決定打となったのは、アークティック・モンキーズの『AM』だろうか。同バンドのヴォーカルであるアレックス・ターナーの別プロジェクト、ラスト・シャドウ・パペッツもUSルーツの音を鳴らす。

そんな中、カサビアンは数少ない「UK」のロックバンドだ。デタラメにカッコイイ。最高に踊れて、最高に泥臭くて、メランコリーとルサンチマンを併せ持つ。真夜中のマウンテン・ステージでベストアクト級の輝きを放ったのは、そんなハチャメチャなバンドだった。

クラブマナーに根ざしたロックサウンド、というのもUKっぽい。例えばこの日披露された『bumblebeeeや『Eez-eh』(いずれも2014年リリースの『48:13』に収録) がそうだが、果てしなくダンサブル。評論家筋からはあまり好まれなかったが、僕は当時から大好きなトラックだった。今回のライブで、その思いをさらに強くした。
恐らくそう感じたのは僕だけでなく、この日カサビアンのパフォーマンスを観たオーディエンスは、同じ感想を口にするではと思う。まるでレイヴ会場のような盛り上がり。彼らのライブ中、SNSのトレンドに「カサビアン」と「Kasabian」の両方が上がったというのだから、熱狂ぶりが窺い知れよう。実際、休み時間などは1分たりともなかった。

この文章を書きながら、えも言われぬ寂寥感に襲われている。『Fire』で締めくくられた後、何だか祭りの後のような切なさを感じてしまった。心地よい疲労感と共に、なかなか消えてくれない余韻を噛みしめる。

UKロックの炎は、まだ微かに、それでも確かに、燃えていた。

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