【出れんの!?サマソニ!? 2015 】クリマン賞該当者なしの波乱も、粒ぞろいのアーティストたち。(音楽部門編)

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QVCマリンフィールドの一角にある占有スペース、『SIDE-SHOW MARINE』。ここには、本家サマーソニックのチケットを持っていなくても無料で観覧できるステージがあります。夜明け前のアーティストたちが凌ぎを削る戦場、『出れんの!?サマソニ!?』。彼らの野心溢れる演奏には、本家に負けず劣らずの迫力と熱気があります。昨年はChristopher Allan DiadoraやDATS、MONSTER大陸などがこのステージを彩りました。過去には、HAPPYやWHITE ASHなども出場しています。その注目度は年々高まっており、今や若手の登竜門として、他とは一線を画す存在感を放っていますね。そんな『出れサマ』、今年は創設7年目を迎えます。クリマン賞に関しては、該当者なしという異例の結果に終わりました。が、総合力で判断すれば今回は例年以上の輝きを放っているかもしれません。ぜひ、あなたの目と耳で確かめて下さい。

出れんの!?サマソニ!? 2015 出演アーティスト

Cö shu Nie
Cö shu Nie

今回の寺岡呼人賞受賞バンドです。センスの良さだけでなく、音楽表現に対する凄まじい熱量を感じますね。『ペリカン号でどこまでも』では、わずか一分足らずで彼らの世界へと連れて行ってくれます。浮遊感と激情が同居するようなヴォーカルが印象的。時折顔を見せる泣きのギターもエモいです。一曲の中で様々な表情を見せる器用さもあり、地力の高さは十分に伝わるのではないでしょうか。今回の寺岡呼人賞も伊達ではありません。

Cö shu Nie - ペリカン号でどこまでも MV


eimie
eimie

いしわたり淳治賞受賞バンド。「日本のグライムス」と形容される通り、どこかアングラな印象を受けます。個人的には“Carnival”が一番好きなのですが、発表されている曲には全て、雰囲気に統一感があります。透明感のある歌声と、重いビートがクールです。そして驚くべきは、バンドを結成してからまだ1年だということ。それにも関らず、この完成度・・・。いやはや、可能性しか感じません。

eimie - Carnival (Official Lyric Video)


THE BOY MEETS GIRLS
THE BOY MEETS GIRLS

なんて夏フェスが似合うバンドなんだ!!歌詞の日常感と、非日常的なシンセのサウンドの「ミスマッチ」が心地良いです。将来、野外の大きなハコで踊りながら聴きたいですね。「誰もひとりぼっちにしない音楽」という制作コンセプトもエモいです。汗だくになりながら聴く「サマーパラソル」は、きっと気持ちがイイだろうなぁ。

THE BOY MEETS GIRLS「#262810」MV


DJ’TEKINA//SOMETHING
DJ’TEKINA//SOMETHING

“You Need Fxxkin’ Anthem”を引っ提げて、ソニックマニアに参戦しても何の違和感もないように思います。ここ日本でも、正統派のEDMプロデューサーがジワジワと頭角を現しつつありますね。彼の特異な点は、ボーカロイドの文脈から派生してきたということ。日本的なサブカルチャーが、世界に目を向け始めた結果なのかもしれません。そういえば、スクリレックスもボカロ好きでしたね。

【MV】 You Need Fxxkin' Anthem (feat.Yuyoyuppe)


PAELLAS
PAELLAS

明らかに海外のインディーロックシーンを意識した音作り。ポストパンクとクラブミュージックをクロスオーヴァーさせたような世界観が印象的です。イアン・カーティスとトロ・イ・モアが、交互に顔を覗かせているみたい。 “Hold On Tight”のMVよろしく、夜の公園を散歩しながら聴きたい音楽ですね。曲が終わっても、頭の中ではまだ彼らの音が鳴っています。

PAELLAS - Hold On Tight


P.O.P
P.O.P

メンバーの経歴を見ると、更に曲の味わいが広がります。ドームツアーに帯同する売れっ子、サラリーマン、川崎のヤンキー、シングルファーザー等々、実に多彩なメンバー構成です。MCの片方、どこかで観たことあるなぁと思っていたら、「SRサイタマノラッパー」のTKD先輩でした。 “Watch Me”のMVをよく観ると、同映画の出演者たちも出ていますね。そもそもこのMVを監督したのは、他でもない入江悠です。 ・・・不覚にも泣きました。

P.O.P (ピーオーピー) - Watch me (Official Music Video)


FINLANDS
FINLANDS

どんなに熱くても決して脱がないモッズコートが彼女たちのシンボル。バンド名で北欧的なサウンドを想像していると度肝を抜かれます。めちゃくちゃハード。泣きのフレーズを惜し気もなく聴かせてくれます。特にギターに関しては、終始嗚咽交じりに泣きじゃくっています。最初は不快だった細くて甲高いヴォーカルも、今となってはバンドに不可欠な武器のように思えます。

FINLANDS「クレーター」Music Video


ホタルライトヒルズバンド
ホタルライトヒルズバンド

磯貝サイモン賞受賞。「柏MUSIC SUN」のオーガナイザーとしても知られており、日増しに知名度を上げています。そのバイタリティとは裏腹に、彼らの楽曲は朴訥そのもの。実直で素直な印象を受けます。2年前の曲ですが、「パンザマスト」が醸し出す強烈なノスタルジーには、往年のバンドが持つ老練すら感じます。

パンザマスト / ホタルライトヒルズバンド


ヤバイTシャツ屋さん
ヤバイTシャツ屋さん

大谷ノブ彦賞受賞バンド。やる気が微塵も感じられないかと思いきや、表現的なエネルギーで比肩するバンドは他にないかも・・・、と考えを改めさせられます。歌詞に注目すれば分かりますが、このバンド、作家の朝井リョウ並に鋭い着眼点を持っています。つまらない大人が思いつきそうな批判は、恐らく彼らにとっては的外れなのでしょうね。

【LIVE】ウェイウェイ大学生 - ヤバイTシャツ屋さん(new!)


ЯeaL
ЯeaL

寺岡呼人賞&レインボー賞(本家サマーソニックのレインボーステージ出場権)をダブル受賞したガールズバンドです。荒さと瑞々しさが混在するこの感じは一体何だろう、と思っていたら、メンバー全員が現役の女子高生でした。まさしく、「爆ぜるような」演奏スタイルです。こちらの曲が内包する力強さは、凡百のアイドルバンドのそれとは比較になりません。

ЯeaL-りある- 「セナカアワセ」PV


梨帆
梨帆

昨年、「ギター女子」というカテゴリに分類される女性ソロアーティストが多数活躍しました。群雄割拠の現在の「ギター女子」ですが、オリジナリティーという意味では、梨帆は十分に戦えると思います。彼女の声質、か細い声で叫ぶような歌唱スタイルは極めてレアです。「マイペースに音楽やってます」と本人が言うように、自然体で飾らない態度が素敵です。

First boy 梨帆


WONDERVER
WONDERVER

最後は藤田琢己賞受賞バンド!最新ナンバーの“H E A R T”の動画再生数を見て絶望しました。とても素通りできるようなクオリティではありません。完璧な音作りを聴いても分かるように、エンジニアもかなり優秀です。この調律すらも自分たちでやっているとすれば、それはもう恐ろしいバンドですよ。音楽的な造詣の深さでは群を抜いています。

WONDERVER - H E A R T (official)


 

冒頭でも申しましたが、「出れんの!?サマソニ!?」は、衝撃の『観覧無料』です!チケットなしでこのレベルのバンドが観られますよ。間違いなく一見の価値はあります。いや、一見と言わず百見でも千見でも観に来て下さい!朝まだきのキラキラした輝きを、その目でぜひ見届けて欲しいです。

「出れんの!?サマソニ!? 2015」

2015年8月15日(土)
2015年8月16日(日)
会場:QVCマリンフィールド特設ステージ
タイムテーブルは後ほど発表!

〈関連リンク〉
「出れんの!?サマソニ!?」