音楽と、ファッションと、サマーソニック論


音楽の周りには様々な人がいる。近頃はますますカオティックだ。今年のサマーソニックは、それを象徴するような内容だったと思う。そのときの様子を、ステレオタイプ全開のイラストと文章で映し出してみる。

ソニックマニアのアイコンを1組だけ選ぶとすれば、それはPerfume

昨今のサマソニは、ステージやイベントで明確にペルソナを分けている節がある。例えば、ビーチ・ステージとレインボー・ステージのカラーは違うし、ソニックマニア(以下ソニマニ)とサマソニも少し異なる。冒頭でも述べたように、サマソニはカオティックなシーンの有り様を表現しなければならない(だからこそステージごとのカラーが違う)のに対し、ソニマニにはしっかり主役がいる。ダンス・ミュージックだ。

一口に「ダンス・ミュージック」と言っても様々あるのだが、ソニマニもジャーナリスティックな側面があるので、重要なアクトは「その時代のダンス・ミュージック」となる。で、筆者は本気でPerfumeが本イベントのアイコンだと思っている。なぜなら、彼女たちの音楽は常に「その時代のダンス・ミュージック」だからだ。

Perfume – 「If you wanna」

新曲の『If you wanna』、もう聴きました?ソニマニで聴いた当初は『Future Bassだ!』と思っていたけれど、ネットの反応の中には「Perfumeの新曲、ブロステップっぽい」などの書き込みも散見される。大枠はFuture Bassだが、違うジャンルで解釈するリスナーがいるのも理解できる。それぐらい、この曲は参照点が様々だ。「EDM以降」や「脱EDM」がひとつのテーマである昨今、Perfumeのプロデューサーの中田ヤスタカも、その未来を模索する一人である。

オーディエンスを見渡しても、Perfumeのファンは音像の変化に敏感だ。他のアーティストのファンと比較したとき、ジャンルで解釈することに長けているような気がする。良い意味で「ギーク」。新曲が発表される度に、SNSには「今回は王道のテクノポップか!」や、「直球のトロピカル・ハウスだ!」なんて言葉が並ぶ。

音楽の知識が昔ほど重要でなくなった現在、このような関係性は理想的のようにも見える。新規リスナーにもハイリテラシーを要求するスノビズムが存在しないのに、なぜかみんな詳しくなっているという。これ、どうにか他のシーンにも転用できないものか。

恐ろしい速度で成長し、最先端へ駆け上がったZara Larsson

ザラ・ラーソンの最大のヒット曲、『Lush Life』がリリース(当時17歳)されてから僅か2年。ハイティーンの成長速度とは恐ろしいもので、今回のサマソニで見た彼女は、もうすっかり大人の女性であった。『Lush Life』でティーンの向こう見ずな危うさを歌っていたが、今年の2月に発表された『So Good』では情熱的な愛を表現する。クリーン・バンディットとの『Symphony』に至っては包容力すら感じた次第。

Zara Larsson – 『So Good』

「最先端」とは言わずもがな音楽のことである。『Lush Life』の頃からその匂いは感じていたが、昨今のポップスター(ジャスティン・ビーバーのような)同様、インディーへの接近が顕著だ。特に『I Would Like』。例に漏れず、ザラ・ラーソンもメインストリームに居ながら、アングラの空気を吸い込んでいた。

この現状に対し「インディーの死」なんて言葉が当てられるのだが、「インディー」が多数派になれば、また新たな潮流が生まれるはずである。その意味で、ザラ・ラーソンのライブは新しい「未来」を感じさせるものであった。

「24歳」というところに、エモさを感じる。この女の子たちの周りには、今も音楽を聴いている人は居るのだろうか。大学生の頃は狂ったようにCDを買い漁っていたあの子も、今では全く新譜を買わなくなってしまった。

大学を卒業しても新しい音楽やファッションを追っている人を見ると、嬉しくなる。

揺るぎ無くカッコイイSuchmos

最近はどのフェスに行っても、Suchmosの立つステージは人で溢れ返る。この現象、「ブーム」とか「トレンド」という言葉で片付けられるような一過性のものではないように思う。世代間で価値観も違うし、気を抜けばSNSは炎上しそうだし、全方位に猜疑心を働かさなければならない今、人はまず相手の顔色を窺うようになった。

Suchmos NEW LABEL “F.C.L.S.” SHORT FILM

そんな時代に、誰に気を使うわけでもなく、ひたすら格好いいバンドが現れた。筆者も含めた多くのオーディエンスは、そんな彼らを真の意味で英雄視しているのだと思う。社交辞令だけ上手になる僕らに向けて、彼らは「Just wanna deeper ノイズはワイパー」と歌うのだ。

YouTubeのコメント欄でも、幕張メッセでも、シンプルに「かっこいい」という言葉がSuchmosに送られる。この一言に、憧憬と共感がいっぺんに詰め込まれているような気がするのだ。

少し前に「#まるでSuchmos」というハッシュタグが流行ったけれど、あの現象も極めて現代的であったように思う。ふざけたノリではあったが、「格好つける」という行為を再認識する意義はあったはずだ。

サマソニの会場内にもYONCEっぽい男子は多かったが、参照したのがYONCEであれば、彼女もきっと許してくれるだろう。というか、多分気付いている。

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