【第11回 Hostess Club Weekender 2日目】インディー・ミュージック最大規模の祭典に潜入!


潜入と言いつつ、ホステス・クラブ・ウィーケンダー(以下HCW)には第2回目以降ほぼ毎回参加している。このフェスは相変わらず良い雰囲気だ。「のほほんとした」という類いのものではなく、どこかギラギラした欲求が渦巻いている。やはりインディー系の祭典とあって、参加者の多くが音楽への愛情を人一倍に備えている猛者ばかりだ。セットチェンジの空き時間だというのに、音楽の話題が途切れることは無い。ジョン・グラントの新作に熱を上げる人がおり、オー・ワンダーの新譜を心待ちにしている人がいた。筆者もそんな雰囲気に吞まれ、今月はお財布がスッカラカンにも関わらずCDを数枚買ってしまった。来月のお給料日まで、ほぼ毎日100円ショップのパスタで生活する覚悟である。

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同フェス1日目の記事にもあるように、音楽フリークから見れば、これは宝の山以外の何物でもない。購入を来月に持ち越すつもりでいたエル・ヴァイの新譜、買うタイミングを完全に逃していたユース・ラグーンの“Savage Hills Ballroom”にまんまと手を出してしまった。ホステスの商売上手ぶり、アーティストのチョイスの良さには脱帽である。

関連して、この記事を書いている最中に嬉しいニュースが飛び込んできた。この日出演したジュリア・ホルターの最新作“Have You In My Wilderness”が、英国の音楽雑誌MOJO、同じくUNCUTにて年間ベスト・アルバム第1位を獲得した。前作で脚光を浴びた彼女の更なる躍進である。どちらも権威のある媒体なだけに、ここ日本にも影響は波及するだろう。年末のCDショップが大変楽しみだ。

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右上は本人サイン。これだけは当初より会場で買うつもりだった

さて、ここからはライブレポートを。

Julia Holter(ジュリア・ホルター)

生音を聴くまでは、どちらかと言えばチェンバー(室内音楽)寄りのミュージシャンなのかと思っていたが、違った。この日はジュリア・ホルター(Vo.&Key.)のほか、デヴィン・ホフ(Ba.)、ディーナ・マカビー(Vio.)、コーリー・フォーゲル(Dr.)の4人編成によるパフォーマンスだったが、その姿はまさしくライブバンドであった。特に“Everytime Boots”の軽やかさたるや、それまでの内向的なイメージを一蹴するには十分だった。アルバムタイトルに“Wilderness”(原野)とある通り、より開けた音風景である。ピアノを弾く手も力強くて、惚れ惚れしてしまった。

そうかと思えば、聴く人にそっと寄り添ってくれるような優しい質感もある。曲によって様々な表情を見せてくれた。最後の“Sea Calls Me Home”を聴き終わったとき、夢から覚めたような心地がしたものだ。筆者は単独公演にも行くので(この記事が公開される頃にはそちらも終了しているだろう)、期待は高まるばかりである。もっと多くの人に知ってもらいたいアーティストだ。

The Bohicas(ザ・ボヒカズ)

第8回目のHCWに出演した経験のあるザ・ボヒカズ。一発目から“XXX”を披露。何がすごいって、客入りが。今年のフジロックへの参加を逃した筆者は、彼らのライブを観るのは先述のHCW第8回目以来である。そのため彼らに対しては当時のイメージが残っていたが、オーディエンスの数もノリの良さも、その時とは比べ物にならなかった。加えてバンド自体にも風格が出てきたように思う。「成長」とはこのことを言うのか・・・。以前はここまでブルージーな感じはなかった。サウンドにも厚さが増しており、“To Die For”あたりではそれが顕著である。

そして極めつけは“Swarm”だ。ヴォーカルのドミニクが「最後に1曲聴いてくれ」というトークの後、この曲の名が告げられた。更に沸き立つオーディエンス。多くの人がモッシュの中へなだれ込んで行った。まさに大団円である。シンプルだけれど熱いステージだった。

Mystery Jets(ミステリー・ジェッツ)

この後に続くブロック・パーティー同様、HCW第2回目に出演した過去を持つ。アメリカへの憧れを高らかに歌い上げた“Radlands”が一番好きな筆者は、以前の彼らでも大いに満足できた。今回はセットリストの大半が新作“Curve of the Earth”からの初お披露目ナンバーということだったが、正直なところ“Someone Purer”さえ聴ければ良いと思っていた。

いやはや、なんて浅はかで怠惰な態度だっただろう。1曲目ですぐに考えを改めた。ミニマムとマキシマムを自在に往来するようなサウンドスケープ。その上めちゃくちゃエモーショナルだ。「“Radlands”を受けて」という触れ込みであるが、それもよく理解できた。特にウィリアム・リースのギターサウンド。彼はこんなに泣きのフレーズを多用する方でしたっけ・・・。

掛け値なしに、来年リリースされる新譜は傑作になりそうだ。間違いなく買う。

Bloc Party(ブロック・パーティー)

【HCW終演】最終日のヘッドライナーを務めたのは、メンバーチェンジを経て新体制となったブロック・パーティー!デビューアルバムから最新作まで披露し、最後はシンガロングにクラウドサーフまで起こり初期からのファン特に大興奮のステージを魅せてくれました!2日間ご来場いただき、ありがとうございました。バンド同様、来場者の皆様も心から楽しい時間を過ごせていたら嬉しいです。また、会いましょう!#BlocParty #ブロックパーティー #明日は大阪公演 #会場の一体感がハンパない最高のステージ #hostessclub photo by Kazumichi Kokei

Hostess Entertainmentさん(@hostessentertainment)が投稿した写真 – 2015 11月 23 4:22午前 PST

今回のHCWで最も嬉しいライブだったかもしれない。2012年に彼らを見てから、メンバーの半分が入れ替わった。今年公開されたアーティスト写真には、そこはかとなく「出オチ感」が漂っており、新曲の“The Love Within”も厳しい評価を受けている。それゆえ多少なりとも不安があった。恐らくこの日の参加者の多くが、同じような思いでいたことと思う。

だが、それは全くの杞憂であった。“Hunting For Witches”や“Banquet”など、かつてのヒットナンバーを惜しげもなく披露してくれた。ケリー・オケレレの粘っこいヴォーカルもまだまだ健在である。ギターのラッセル・リサックは、以前にも増して職人気質なところが出てきた。新メンバーのジャスティン・ハリスとルイーズ・バートルも良い。特にルイーズ(なんとまだ21歳!)は、前任のマット・トンに勝るとも劣らない実力を備えている。バンド全体がフィジカルな魅力全開のパフォーマンスを見せていた。

そして何と言っても、あれほど酷評されていた例の“The Love Within”である。「か、かっこいいじゃねぇか・・・」 思わずそう呟いてしまうほどのエモさ。いやまぁ、ライブのテンションで味わえたことが大きいのだけれど、それを踏まえても喜ばしい発見だった。新生ブロック・パーティーの前途は明るい。

第11回 Hostess Club Weekender

2015年11月22日(日)
2015年11月23日(月・祝)
会場:東京・新木場STUDIO COAST
<関連リンク>
第11回 Hostess Club Weekender

text:川崎 ゆうき

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