【サマソニ予習】 SUMMER SONIC 2015に集う渋いヤツら(渋メン)

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ついに、「サマーソニック2015」開幕まで一ヶ月を切りました。いよいよ重い腰を上げ、諸々準備に取り掛かる頃ですね。さて、近年の音楽シーンは世界的に若いアーティストの台頭が目立ちます。我らがサマソニもその影響を受け、若手実力派アーティストが多く出演します。が、もちろん往年の名プレイヤーたちも忘れてはいけませんよ!脂の乗った彼らの演奏も、若手に引けをとりません。ということで、今回はそんなベテラン勢にスポットライトを当ててみました。題して、『渋メン』。なお、下記は全てサマーソニック東京についての記事ですので、ご注意ください。大阪公演は1日目と2日目で、アーティストの出演日が東京公演とは反対になります。

1日目(7月15日)

まずは初日の渋メンから。
Manic Street Preachers

Manic Street Preachers

90年代のUKロックシーンを牽引したバンドの一つであり、「マニックス」の愛称で知られています。元々は4人組のバンドでしたが、1995年にギター兼作詞担当のリッチー・エドワーズが失踪(2008年に死亡宣告)し、以来3人で活動しています。日本でも馴染みが深く、初来日の際は日本人のファンによる熱狂的な歓迎を受けました。それ以来マニックス側も日本を特別視してくれているようで、UK以外でツアーを組むのは日本だけ、なんてこともあります。そんな彼ら、サマソニでは2007年以来8年ぶりの出演が決定しております。しかも今回のサマソニは、ただの来日パフォーマンスに止まらないようですね。サマーソニック2015のHPには、Performing “THE HOLY BIBLE”と表記されています。 ・・・これ、ファンにとっては感涙必至のステージになることが既に確定しているのではないでしょうか。  「ホーリー・バイブル」というのは、彼らの通算3枚目のスタジオアルバムです。先述のリッチーが失踪する前に作られた、つまり4人全員で作った最後のアルバムです。ファンの間でも評価が高く、未だにこのアルバムをマニックスの最高傑作に推す声も聞かれるほどです。今年6月には、彼らの故郷ウェールズでも「ホーリーバイブル」完全再現ライブが開催されました。まるで結成30周年(2016年)を目前に、原点回帰しているかのようですね。今夏、彼らは間違いなく「俺たちのマニックス」を見せてくれるでしょう。(SONIC STAGEにて出演予定)


JON SPENCER

The Jon Spencer Blues Explosion

第1回サマーソニックのヘッドライナーにして、今や常連の「ジョンスペ」。2000年代に一度活動を休止し、2012年に復活を果たします。そのときに発表したアルバム“Meat And Bone”は、それはもう土着的なロック色が強く、復帰作としてはあまりにも「らしい」サウンドでした。が、今年4月にリリースされた最新アルバム“Freedom Tower”は少々趣が違います。昨今の音楽シーンでは、ジャンルの違う音楽をクロスオーヴァーさせ、クールなサウンドを作り上げることはもはや常套手段の一つとなっています。若いアーティストの周辺で巻き起こっているムーヴメントですが、すっかりその地位を築き上げたはずのジョンスペがそれをやってのけました。今回のアルバムは、ヒップホップやソウルなどのエッセンスを、より顕著に吸収しています。過去にも実験精神溢れる作品を何枚も世に送り出している彼らですが、復帰後2枚目にしてその本領を発揮し始めました。しかも“Betty vs. The NYPD”などでは本来の「らしさ」もしっかり残しています。なんというバイタリティ。進化と存続を同時にやってのける柔軟さ。いやはや、ベテランと言われるようになって久しいですが、まだまだその勢いは健在ですね。今年も渋さ全開のステージを見せてくれそうです。(SONIC STAGEにて出演予定)


ZAPP

ZAPP(東京公演のみ)

中心人物であるロジャー・トラウトマン亡き後も、精力的に活動を続けるザップ。彼らの曲は、今や数多のアーティストにサンプリングされています。80年代の音楽シーンでは破竹の勢いで活躍していました。「ファンクと言えばザップ」と言われるぐらいの存在でした。偉大なアーティストは世代を超えて語り継がれるもので、実はとあるゲームで彼らの曲が使われています。「グランド・セフト・オート・サンアンドレアス」では、彼らの代表曲の一つである“I Can Make You Dance”が使われていますね。その刺激が強い内容により色々と話題を集めるゲームですが、音楽の趣味はすごく良いと思います。VGXアワードではべストサウンドトラック賞をもらっていますね。・・・話が逸れそうなので戻しましょう。今回のサマソニでは、メンバー全員が楽器を持ち替え、ヴォーカルも入れ替わるという、破格のパフォーマンスを見せてくれるそうです。想像しただけでファンキーな気分になりますね!円熟した彼らの演奏、必見です。(BEACH STAGEにて出演予定)


2日目

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D’angelo And The Vanguard

恐らく今回のサマソニで最も注目度が高いであろうステージです。早いもので、昨年末の「事件」からもう半年ですか。ディアンジェロの最新アルバム「ブラック・メサイア」がリリースされた12月、世界は騒然としました。ここ日本でも、当時の音楽シーンはこの話題で持ちきりだったように思います。前作の「ブードゥー」から14年ぶりに黒人音楽界の天才が動き出したとあれば、当然その注目度は高くなります。参考までにアメリカ音楽メディアの権威、「ピッチフォーク」の評価を見てみましょう。D’angelo/Black Messiah、9.4点。この数字がどれほど異常なものかと言いますと、年間べスト10クラスのアルバムが8点台後半程度です。その他の音楽ジャーナリストも、同様に高い評価をこのアルバムには与えています。規格外の評価で以って、ディアンジェロの最新作は歓待されたわけですね。その彼が、「サマーソニック2015」のため日本にやって来るのです。来日はなんと20年ぶり!そりゃあ単独公演も決まります。サマソニ参戦が公式に発表されたとき、「ブラック・メサイア」のジャケット写真よろしく拳を高々と突き上げた方も多いのではないでしょうか。加えて今回はファレルも一緒です。熱くならないはずがありません。入場規制には細心の注意を払いつつ、このあまりにもセンセーショナルなステージを楽しみたいものです。(MOUNTAIN STAGEにて出演予定)


MEW

Mew

信じられないぐらい過小評価されているバンドです。デンマーク出身で、北欧独特の耽美的な世界観を持っています。2003年に“Frengers”というアルバムで世界を席巻してから、彼らはアルバム一枚ごとにその姿を自在に変えてきました。“Frengers”では、骨太さと繊細さを併せ持つオルタナティブ・ロックを表現しています。一見矛盾するようですが、フロントマンのヨーナスの儚げなヴォーカルと、それを支える無骨なバンドサウンドの融合によって、彼らの「矛盾」は実現します。同アルバム収録の“Snow Bridge”という曲が顕著ですね。今年4月にリリースされた「+-」では、よりシューゲイズっぽさを纏っています。ヨーナスのヴォーカルが更に浮遊感を持って立ちはだかり、どこか切ない印象を受けます。特に“Satellites”という曲は、ミュージック・ビデオの美しさも相俟って、存分に彼らの世界観に浸ることができます。個人的には、今回のアルバムのハイライトはこの曲ですね。ライティングの技術や映像テクノロジーが、ライブにおいて更に重要な役割を占める今こそ、ミューの真骨頂を再確認できるのかもしれません。どんなパフォーマンスを見せてくれるのか、今から大変楽しみです。(SONIC STAGEにて出演予定)


CAST

CAST

伝説的なUKロックバンドである「ザ・ラーズ」のベーシスト、ジョン・パワーを中心に結成されました。伝説になったのはラーズだけではなく、キャストも十分にその存在感を放っています。ミュー同様、過小評価されているバンドの一つですね。90年代のブリットポップシーンでは、間違いなく時代を作っていました。中でも95年に発表された「オール・チェンジ」、97年の「マザー・ネイチャー・コールズ」は歴史的な名盤です。2012年には「トラブルド・タイム」を発表しましたが、これがまた渋い内容でして・・・。ド直球のブリット・ポップです。“See That Girl”では、「これぞキャスト!」と膝を打つこと請け合いなサウンドを聴かせてくれます。そして後の“Time Bomb”では、ジョンの哀愁を帯びたヴォーカルで彼らの世界観にどっぷりです。世界中にファンを持つ彼らですが、未だにインディー魂は忘れていません。サウンドクラウドのオフィシャルページでは、フリーダウンロード可能(!)な楽曲もあります。

物憂げなキャストも素敵ですね。今年は「オール・チェンジ」発表から15周年にあたりますが、サマソニではどんなパフォーマンスを見せてくれるのでしょうか。2012年にも、同じくサマソニで来日していますが、その時も「オール・チェンジ」の中から数曲披露(危うく“Walk Away”では泣きそうになってしまいましたが・・・)してくれました。今度は節目の年とあって、期待値もより高まってしまいますね。彼らにどれだけ時間が割かれるのかも気になります。ああ、タイムテーブルの発表が待ち遠しい!(SONIC STAGEにて出演予定)


以上、『渋メン』特集でした!安定のソニック・ステージ。一際渋いですね。昨年はベン・ワットやピクシーズが、この舞台を彩っておりました。が、やはり今年は何と言ってもディアンジェロ。彼が出るマウンテン・ステージも死守したいところです。移動についてのお役立ち情報はコチラでチェックできますので、ぜひ今一度ご確認を。いやはや、今年のサマソニも忙しくなりそうですね。「SUMMER SONIC 2015」、もう間もなく!!

「SUMMER SONIC 2015」

<東京>
2015年8月15日(土)
2015年8月16日(日)
会場:QVCマリンフィールド&幕張メッセ
OPEN 9:00 / START 11:00

<大阪>
2015年8月15日(土)
2015年8月16日(日)
会場:舞洲サマーソニック大阪特設会場
OPEN 10:00 / START 11:00

<関連リンク>
「SUMMER SONIC 2015」