【CHIC Featuring NILE RODGERS 】ダンス・ミュージック界の大ボス、来日!!
グラミー2014の衝撃から早くも2年が経とうとしている。あのときの主役はダフト・パンクだったが、「地球最強布陣」とでも言うべき7人から放たれる迫力たるや、画面越しに観ていても気圧されるほどだった。今回来日が決まったシックのナイル・ロジャースは、そんな圧巻のステージを彩ったキーマンの1人である。新曲を引っ提げての来日公演になるが、そちらへのフォーカスに移る前に、改めてこの動画をピックアップしておきたい。
“Get Lucky”(ダフト・パンク)→“Le Freak”(シック)→“Another Star”(スティーヴィー・ワンダー)という、もはや奇跡に近いメドレー。このパフォーマンスを目撃した人たちによって、ネット上が騒然となったのを覚えているが、今観直しても当時の熱狂がリアルに蘇る。このステージを観るだけで、ナイル・ロジャースという人物が如何に重要な存在であるかを理解出来るだろう。
I’ll Be There
それでは、ここらでシックの新曲の話に移りたい。実に23年ぶりの新作アルバム、“It’s About Time”のリリースが待望される今日この頃。このアルバムからシングルカットされた曲“I’ll Be There”の完成度を見ると、嫌でも気持ちが高揚してしまう。何せ破格の内容である。トラックはニューヨークのハウス・デュオ、ザ・マルティネス・ブラザーズとの共作で、シック歴代の名曲たちも多分にサンプリングされている。これだけで往年のファンクファンは歓喜するだろう。が、ここはまだ序の口。うねるようなベースライン、色気たっぷりのホーンセクション、ソウルフルなコーラスワーク、グルーヴィーな4つ打ち・・・。いやはや、どれをとっても一級品である。ここへナイル・ロジャースの冴え渡るカッティングが加わり、いよいよ手が付けられないサウンドへ。
おかえりレジェンド!!前作の“Chic-Ism”すらリアルタイムで体験していない世代の者ですが、こんな音楽を待っておりました。言葉に尽くせぬかっこよさでございます。シスター・スレッジに提供した楽曲“Love Somebody Today”(1980年)のレコーディング・セッションを下敷きに作られたナンバーだが、全く色褪せることなく現代へ生き返った。当時のシックのメンバーであり、ナイルの相棒だったバーナード・エドワード(1996年日本公演の直後に逝去)の名前がこの曲にクレジットされているのは、そのような背景からである。
なんとMVには今をときめくスーパーモデル、カーリー・クロスまで!どこまで豪華なんだ・・・。楽曲が過去のシックへのオマージュならば、MVもまた彼らの過去と現在を往来するような内容である。
プロデューサーとしてのナイル・ロジャース
彼を語る上で必要不可欠なトピックだ。一体どれほどのヒットナンバーを生み出してきただろう。一曲一曲フォーカスしていると、それだけで記事が終わってしまうほどである。あなたが好きなあの曲も、きっとナイル・ロジャースによるものだ。先に述べたダフト・バンクの“Get Lucky”への参加が記憶に新しいが、彼は予てより様々なアーティストへ楽曲を提供してきた。例えば、こんなアーティスト。
Diana Ross “ I’m Coming Out”
カッティングの音色が入ってきた瞬間、楽しそうにギターを弾くナイルの顔が浮かぶようだ。この曲はヒップホップ界の伝説、ザ・ノトーリアス・B.I.Gの“Mo Money Mo Problems”でもサンプリングされており、ジャンルを超えて愛されている。
David Bowie “Let’s Dance”
デヴィッド・ボウイのシングルの中でもトップクラスの売り上げを誇るナンバーだが、この曲もやはりシック色が強い。ボウイのコアなファンには賛否両論あるようだが、以前までの彼には見られなかったようなフィジカルさ、体温の高さを感じる。
その他ナイルがプロデューサーを務めたのは、ジェフ・ベック、デュラン・デュラン、マドンナ・・・等々。曲の提供に限らなければ、アヴィーチーやサム・スミス、ディスクロージャーの名前も出てこよう。まるでポップ・ミュージックの歴史を凝縮したような経歴である。シック、あるいはナイルロジャースの歩みはディスコソングの軌跡と言って差し支えないだろう。ライブでどのようなセットリストを組もうとも、恐らくオーディエンスは狂喜するはずだ。僕たちが12月に目撃するのは、ダンス・ミュージックの集大成なのだから。
2015年12月1日(火)
会場:大阪・ZEPP NAMBA
2015年12月3日(木)
2015年12月4日(金)
会場:東京・ZEPP DIVERCITY TOKYO