初開催のMITO GROOVIN’ 主催者インタビュー「何か一つきっかけを作って帰ってもらえれば」
最大規模のローカルロックフェスとして今年初開催となるMITO GROOVIN’。
豪華アーティストが多数出演することでも話題となっていますが、一体どんな思いから誕生したのでしょうか?
今回は主催者である水戸ライトハウス店長・稲葉茂さんと水戸商工会議所青年部・小川猛志さんに開催に至った経緯や思いを伺いました。
開催の経緯
ーーーMITO GROOVIN’はどういった経緯で誕生したんですか?
稲葉 震災以降、街に人が減ってしまって。もちろん原因は震災だけではないんですけど。そこをなんとか少しでも街に人を戻すきっかけ作りってなんかできないかな?と思ってました。
あとは震災の時に沢山のバンドが「復興支援ライブ」に駆けつけてくれたんです。もちろんそれは復興と同時に少しづつ減ってきて…。
それで、今度は自分たちの力で発信していかなければいけないと思って、フェスみたいなのを開催できたらなと思ってたんです。そんな時にこちらの商工会議所の方々とお会いする機会があって。そしたら、本当に偶然なんですけど、ロックフェスをやろうかっていう話をお互いにしていて…。
小川 偶然ですよね。
ーーー商工会議所でもロックフェスをやりたいという話があったんですか?
小川 商工会議所は今年40周年記念の年で何か地元に還元できる大きいことをやりたいと言った時に「ロックフェスをやりたい」という意見があったので稲葉さんに相談に伺ったら、「あ、一緒だね」という感じで、「じゃあ一緒にやりましょう!」となりました。目的は一緒ですよね。僕らも地元を盛り上げたいというのはもちろんありますし。
ーーー名前の由来はやっぱりグルーヴを感じてってことですかね?!
稲葉 そうですよ!もうそこですよ。案外サクッと決まったけども。(笑)
小川 いや、思い入れはありますよね!ただ、これからやってきましょうっていうところで、飲みながら出来上がった感じですよね。
ーーー何個か候補をあげて、とかしなかったんですか?
小川 お酒飲んでたんで書くこともしなかったですね!
稲葉 意外とすぐに出てきたかな?
小川 確か稲葉さんが「グルーヴ」って言った時に「いいんじゃないですか、それ!」ってなって、そこから響きで「グルーヴィー、グルーヴィン、ミトグルーヴィン」て感じで。
有名なフェスとかも意外とぽっと出来たりするなんて話聞きますけど、本当にこんなものなのかなって。最初は「ミトグルーヴィンていうのもちょっと恥ずかしいな」って感じだったんですけど、二ヶ月くらいしてから妙に体に馴染んできました。(笑)
稲葉 今回”ビギニング”ってつけてるんですけど、始まりだよっていうところもあるし、これをきっかけにいろんなものが繋がっていけばいいなと思ってます。
水戸に思いのあるアーティストが集結!
ーーーMITO GROOVINの魅力や期待してほしいポイントってどこですか?
稲葉 一番は出演者ですよ。ライブですね。あとはもちろん飲食ブースの地元の名産物というか食べ物だったりとか。
ーーー出演者のブッキングにこだわったところってありますか?
稲葉 もともとライブハウスをやってて、ずっと気持ちで繋がっている人にしか声をかけてないし、そういうバンドでないと声をかけられないですね。共通して言えるのはバンドも水戸に対して気持ちを持ってくれるってことだと思います。
ーーー地元の出身の方も結構いらっしゃいますよね。
稲葉 ええ、28バンド中、10バンドは地元のバンドですね。地元出身も含めて。
ーーーやっぱり地元の方は快く出演をOKしてくれました?
稲葉 もう、地元在住のバンドに関しては気持ちは相当のっかってますね!
ーーー出演者の方のジャンルも様々だと思うのですが…。
稲葉 逆に僕の中でジャンルにこだわりってなくて。それよりもライブに思いがのっかているかどうかというところの方が大事な部分なのかなと思ってます。ジャンルがどうのこうのっていうのは置いてある感じですね。
ただ、その中でも唯一こだわりなのは「ロックである」ということ。
ーーー商工会議所は飲食ブースなどを担当されいるんですか?
小川 うちは主に運営ですが音楽に興味がないわけではないので、稲葉さんと話をしながらアーティストが決まったら一緒に一喜一憂してます。
稲葉 僕がブッキングやって、誰がどうとかじゃなくて、僕とこの二人に関しては全部一緒にやっている感じですね。
小川 稲葉さんは僕より労力すごいことやってますけどね。(笑) でも違うことをやっていても、お互い同じ気持ちで常に動いてるっていう自信は持ってます。
今まで40年間地域のための事業って色々やってきたんですよ。でも、これだけ対外的な人で熱い思いを持っている人とやるのは初めてですね。だからすごく燃えてます。すごく面白いです。
地元での反応は?
ーーーやっぱりライブハウスとフェスをやるってのは全然違いますよね。
稲葉 基本的には同じような気もするし、でも違う部分もあるなっていう感じですかね。
ーーー出演者の発表とかどうでした?
稲葉 個人的な本音を言っちゃえば第1弾とか第2弾とかやりたくないです。本当はドンと全部出してもいいくらいだったんですけどね。
でも、一個ずつ出すのもお客にとっては楽しみだったりもするのかなとも今回やってみて思ったし、制作しながらこっちもワクワク楽しんでやらせてもらってます。
ーーー普段ライブハウスに来るお客さんの反応ってどうですか?
稲葉 いや〜、やっぱ地元のお客さんは地元発信のこういうロックフェスを待ってたのかな?って感じは受けました。
ーーーライブハウスでもチケットは売られてるんですよね?そこで買われる方が多いですか?
稲葉 多いですね!最初に「水戸割チケット」って言って水戸ライトハウスと駅ビルに入ってる新星堂さんで地元のチケットを売ったんですけど、その時はいっぱい人も来てくれました。
ただ、現場でチケット売っていて、あんまり普段ライブハウスに来ないようなファミリーの方とかが買いにきたりして、そういう意味でもどんな人が来るんだろうと楽しみにしています。
小川 うちはお子さんの問い合わせがすごいですね。「子供は何歳から入れるんですか?」って。ホームページには書いてあるんですけど、何歳からチケットがいるのか、とかすごい問い合わせが多いです。僕らの周りでも子連れで行くって人が多いですね。
ーーー水戸へは東京からも高速バスが出てますし、県外からもお客さんがたくさん来そうですね。
小川 東京からなら日帰りだと思うので、アクセスはどんどん良くしてこうと思ってます。
何かのきっかけとなれるフェス
ーーー茨城や福島の人からは水戸ライトハウス行ってたっていう話はよく聞きますよ。
稲葉 そう、「行ってたよ」なんですよ。きっとね、家庭持ったりとか仕事でいそがしくてライブから遠ざかってる人も、これを機に「そんなんやるんだったら地元に帰ってみようか」とか帰省するきっかけの一つになってくれても嬉しいと思う。だいたい水戸の子たちって、全部が全部じゃないけど、高校卒業のタイミングで東京に出ちゃう子が多いんですよ。それまでずっと来てたのにいなくなっちゃったりとか、そういう子たちが帰ってきてくれると嬉しいですね。
ーーーでは楽しみにしている方々にメッセージをお願いします。
小川 もちろんアーティストを観に来て欲しいというのはありますけど、一番は場所ですよね。水戸に来てもらって名産から街や会場の風景、いっぱい資源があるんで楽しんでいって欲しいですね。アーティストに関して言えば、僕みたいな素人が言うのもなんなんですけど、僕の中では他のフェスと差別化されてると思ってます。独特のフェスだと思ってるんでぜひ来て楽しんでほしいです。
稲葉 僕も同じです。思う存分楽しんで、友達をMITO GROOVIN’で作ったでもいいし、一つでも多くの新しいバンドを知ったでもいいし、何か一つきっかけを作って帰ってもらえればな、と思います。
text:くのまい photos:さといも