【主催者インタビュー】SYNCHRONICITY・麻生潤「素晴らしい音楽を持続的に届けるっていうことを大切にしてるんです」
ラインナップの基準はワールドワイドに活動できるアーティスト
ーーーラインナップは全部麻生さんが決定してらっしゃるんですか?
麻生 O-nestを除いてほとんどすべて僕自身でやってます。
ーーーすごい幅広いですよね。普段からライブへ行ったりしてアンテナを張られてるんですか?
麻生 ライブはよく行きます。現場主義ですから!イベントってリアルな場なんで、そこで勝てないアーティストって難しいと思います。
ただ、やっぱり年齢重ねてくると聴かなきゃいけないものが増えてくる。そんな中でどうしても目が届かない部分も出てくるんですけど、そういう部分は素直に若い人に聞きます。「今どういうのがかっこいい?」って。
O-nestはNew Action!ていうイベントとコラボしてるんですけど、そのチームは僕よりもさらに世代が一回り若くてフレッシュなんですよね。すごく目利きがあるしセンスがある。だから一緒にやりたいなと思って。O-nestがあるからこそ、広がりがあるなって思う。まだこれからのアーティストもいると思うんですけど、しっかり応援していきたいですね。
ーーーそんな中で今回はジョジョ・メイヤーが海外アーティストとして初めて出演となりますがどんな経緯があったんですか?
麻生 メンバーが一度SYNCHRONICITYに遊びに来てくれて、SYNCHRONICITYに出たいって言ってくれて。僕も大好きなアーティストだったので、自然な流れで実現しました。
ーーーこれまで日本のアーティストにこだわってやってらっしゃるのかな?って思ってたんですけどそういうわけではないんですね。
麻生 こだわりはあるけれど、理由もほしいなって思うんです。日本にも良いアーティストって沢山いるし、日本的な個性を持ってるワールドワイドなアーティストに出演いただきたいと思っているんです。今回は自然な流れの中で実現したことで、そういうのがSYNCHRONICITYっぽいなって思う。日本や海外にこだわるというより、ストーリーが大切ですね。
いい音楽、いいフェスを知ってもらうために協力する
ーーー次の日に開催されるAfter hoursはどういった協力体制なんですか?
麻生 僕は主催者の一人として、After Hoursの熱い想いを受けて、初のフェスを成功させるというオーガナイザー的な観点でやってますね。
ーーー2つのイベントのブッキングは迷いましたか?
麻生 After Hoursのブッキングはほとんどすべて主催の3バンド(envy、MONO、downy)が行なっています。僕は規模とかを考えて全体を考えていた感じですね。何しろこの規模なので。今回は先にAfter Hoursのアーティストが決まってSYNCHRONICITYという流れだったんですけど、進めていくうちに敢えてカラーを変えて差別化した方がいいなって思って。ある種、陰と陽みたいな感じに思ってます。After Hoursが陰でポストロック的な要素を持ったロック、SYNCHRONICITYが陽でソウルやダンスミュージック系の要素が強い。音楽的にも暗さや明るさがあるというか。また、SYNCHRONICITYは時代感も意識してブッキングしていきましたね。
ーーーAfter hoursやNew Action!以外にも協力体制をとっているイベントはあるんですか?
麻生 頂(静岡開催の野外フェス、頂 -ITADAKI-)は僕も遊びに行ったことあるんですけど本当に素敵なフェスで、カラーもSYNCHRONICITYと被る部分があって距離感も近いので、お互いできる範囲の協力体制取ろうって話してます。 僕、もっと近いイベントとかフェスとかって繋がっていいと思うんですよ。変な距離感持つよりも、協力してやれるところは協力してやれたらいいよねって思う。いいイベントやいい音楽、いいフェスなどを知ってもらいたい。
SYNCHRONICITYの未来は?
ーーー12年やって来てお客さんの層は変わりましたか?
麻生 変わらない部分、変わる部分それぞれありますね。まず変わらずずっと来てくれているお客さんは本当にありがたく思ってます。それは何よりも嬉しくて、そのためにやってるって言っても過言じゃないくらい。ただやっぱり年齢を重ねると結婚して子供ができたり、仕事が忙しくなったりして遠のいていく方もいると思うんです。僕らはまた渋谷のライブハウスでやってるわけですしね。だから入れ替わっていく部分もあります。最近は新しいアーティストもたくさん出演しているし、若い人が多くなってきてます。また、海外の人も増えてますね。いい変化だと思うし、ジャンルや世代問わずいい音楽をたくさん届けたいなって思います。
ーーー若いアーティストも最近盛り上がってきていますもんね。
麻生 僕も本当に元気出ますね。若いアーティストがかっこよくないとやる気が起きないですから、ほんとに。何年か前はほんと面白くなくて、俺はもう年食っちゃったから新しい音楽を理解できなくなってきたのかもって思ってた(笑)。でもその時、2014年だったかな、ヨギー(Yogee New Waves)に出会って。そこから若くてかっこいいいろんな音楽に出会ったんです。ダイヤの原石のような若くてエネルギッシュでかっこいい音楽がたくさんあって、ぐっとモチベーションが上がりましたね。でもヨギーは最初にオファーしたら、新人研修とかで断られたけど(笑)
ーーーSYNCHRONICITYは今後拡大したり、会場を写したりっていうことは考えていますか?
麻生 いつもいろんな方向を考えてます。ただ、僕は続けるってことにフォーカスしてるんですね。2005年くらいから始まって残ってるのって、規模は違えどSYNCHRONICITYとTAICOCLUB(長野開催の野外フェス)くらいだと思う。僕はフェスをやりたいとか規模拡大したいとかいうよりも、素晴らしい音楽を持続的に届けるっていうことを大切にしてるんです。だから、しっかり続けていきたいなと思ってます。
ーーーそうやって12年もフェスを続けていくモチベーションってどこに持っていらっしゃるんでしょうか?
麻生 1つは自分がすごく音楽が好きで、その場を作ることで感動できるっていうこと。絶えずワクワクすることがあって、感動があって、それは本当に大きいですね。SYNCHRONICITYは会社なんて抜きで本当に好きにやらせてもらってるんですけど、そこから派生していく仕事も面白いなって思ってます。もう一つはお客さんやアーティストさんからのフィードバックで「最高だった」とか「ありがとう」っていう感想をもらえることが続けていけるモチベーションになりますね。しんどい時もありますけど(笑)
新しい発見、ワクワクを楽しんでほしい
ーーーしかし、いろいろ考えられているタイムテーブルですよね。
麻生 めちゃくちゃ考えてるけど、正解はないですね(笑)これだけアーティストが出演していると観たいアーティストも絶対被ってくるし、ストーリーも大切だし。ライブハウスのキャパシティもそれぞれ大きく違ったりするから、とても難しい部分もあります。
ーーー今回おすすめのアーティストはいますか?
麻生 みんな大好きで選べないけど、ここはあえてCHAIかな。若くて可愛くてかっこいい。度胸もあるしね!アメリカツアーから帰って来て、このベテランの並び(MANNISH BOYS(斉藤和義 × 中村達也)と渋さ知らズオーケストラの間)でどんなライブを見せてくれるのか個人的にはすごく楽しみです。
ーーーでは、最後に参加する方々へメッセージをお願いします。
麻生 O-nestにはぜひ足を運んでほしいです。これからのアーティストも多いし、すごく現場感がある。今の先っぽなんです。それがO-nestだと思うので、積極的に足を運んでほしいです。音楽がわからないって人も、SYNCHRONICITYのYouTubeプレイリストも作っているので、ぜひ知らないアーティストの音源を聞いてほしいです。SYNCHRONICITYに来れなくってもいい音楽を聴いてほしいし、願わくばSYNCHRONICITYの現場で新しい音楽、ワクワクを感じてもらえたら最高です。
2017年4月8日(土)
会場:東京 TSUTAYA O-EAST、duo MUSIC EXCHANGE、TSUTAYA O-WEST、TSUTAYA O-nest
<関連リンク>
SYNCHRONICITY’17
12年続けるってすごいなぁ。