【ソニックマニア復活】シームレスなダンス・ミュージックの祭典(後編)
日本屈指の「ライブバンド」、電気グルーヴ
体験型コンテンツが隆盛を極める現代の音楽シーンにおいて、アーティストの生ライブはますます重要な意味を持つようになった。それはロックバンドに限った話ではなく、むしろ最近では電子音楽家たちにこそ言えるかもしれない。結成して28年経っても一向に落ち着く気配がない電気グルーヴを見ていると、そう思う。彼らのライブ巧者ぶりは、日本屈指と言って良い。普遍的にしてイノベーティブ。一見さんだらけのライブ会場を一瞬でホームに変える、という場面をこれまでに何度も見てきた。
電気グルーヴ – 『Flashback Disco』(Short Ver.)
先鋭的な舞台演出、原曲の良さを120%引き出すアレンジとマッシュアップ。もちろんパッケージされた音源のクオリティも高いのだけれど、ライブに行くまでが電気グルーヴである。『虹』も『かっこいいジャンパー』も、ぜひ生で聴いて欲しい。今年の3月にリリースされた最新アルバム『TROPICAL LOVE』も、ライブ映えする楽曲が並んでいる。トライバルあり、KenKen(RIZEほか)の超絶ベースあり、メロウあり…。いかにも電気グルーヴらしい、色彩豊かな内容である。初めて彼らに触れるという人、今ですよ。
電気グルーヴ – 『Fallin’ Down』
ノルウェーが生んだ気鋭の天才プロデューサー、Lido
昨年のサマーソニックに出演したカシミア・キャットを覚えているだろうか?彼とLidoは同郷なわけだが、ミュージシャンとしても親交がある。ラッパーのA$AP Fergに共作でビートを提供したり、何らかの形でお互いの活動をサポートし合っている。二人はフューチャー・ベースを主なフィールドとするアーティストだが、共々順調に活躍の場を広げている。カシミア・キャットは待望のデビューアルバム『9』をリリースし、Lidoは今やプロデューサー、リミキサーとして高い地位を獲得している。
The Weeknd – 『Often (Lido Remix)』
Lidoがこれまでに関わったアーティストは多岐にわたっており、HIPHOPからインディー・ロックまで、ジャンルを超えて繋がりを持ってきた。BANKSやチャンス・ザ・ラッパーのコンポーザーを務め、ホールジーのデビューアルバム『Badlands』の制作総指揮を執った。ピアノを中心にほとんどの楽器を弾きこなすマルチプレイヤーの彼だから出来た芸当だろう。余談だが、ホールジーとは一時男女の関係にあった。
Lido – 『Dye』