【サマソニ直前】サマソニ主催クリエイティブマン 清水社長にインタビュー
ブッキング秘話
「フー・ファイターズにたどり着くまでは大変だった」
ーーー毎年ブッキングは大変だと思うんですけど、今年苦労した点などありますか?
清水 今年はとにかくフー・ファイターズにたどり着くまでは結構大変だったな。最初はコールドプレイだったり、ケイティ・ペリーも結構前向きに進んでいたんだけど、最後に「まず単独をやってからフェスを考えたい」となったから、すごい時間がかかったんだよね。
ーーー個人的にはあまり来日のないヒップホップやR&Bのアーティストまでカバーされてたのがすごくうれしかったです。
清水 それがサマーソニックらしさだよね。例えばザラ・ラーソンやデュア・リパみたいな次に来そうな人ってプロモーションでもなかなか呼べないし、ツアーでやるとギャラも高い。でもサマーソニックはそういったアーティストにあえて挑戦して、次のアリーナレベルのアーティストに育てていきたいっていうコンセプトで、ポップフィールド、ヒップホップにも目をちゃんと向けてるんだよね。
Zara Larsson – So Good (Official Video) ft. Ty Dolla $ign
Dua Lipa – New Rules (Official Music Video)
清水 だから何年か前のレディー・ガガなんかが、最たるもので。最初に彼女の出演が決まった時ってまだダンスステージの前のほうでブッキングしたんだよね。それがサマソニに出演が決まったら、あれよあれよと有名になって、海外のエージェントから「ちょっとここだと困る」って言われて。それでメインステージに入れたり、東京もオールナイトの大きいステージに変えたりした。この手のアーティストって、半年、1年で火が付いたり、「こんなところでやったんだ」っていうレベルのアーティストだったりもするから、そういうのもフェスの楽しみかもしれない。
ーーー去年のザ・チェインスモーカーズもサマソニ出演後の大ヒットはすごかったですよね。
清水 そうだね、チェインスモーカーズも数カ月後だったビーチステージではやばかったかな。あとから人気出たっていうのもあれば、その間に一気に人気が上がることもあるから、これだけアーティストが来ると、いろんなことが起こっていて面白いね。
ーーーそんな中で、社長が個人的に今後の成長を期待している注目アーティストをお伺いしたいと思うんですけど。
清水 結構みんな注目してるかもしれないけど、東京1日目大阪2日目のレイニー。彼らはもうThe 1975以降のバンドとして、よりポップスフィールドまで行けるようなポテンシャルを持ったロックバンドだと思うんだよね。聴いたときに本当に気に入って、これは「今年とにかく呼ぼう」と思って、いち早く決めたんです。さらにデクラン・マッケンナも期待の新人としてかなり出てきてるんで、ここはソニックとしていい新人を紹介する流れができたかな。
LANY – ILYSB (OFFICIAL VIDEO)
Declan McKenna – Brazil
サマソニ会場内の注目スポット
進化するサマソニ会場
ーーーアーティストのこと以外で、今年も会場内で変化するところがあると思いますが、注目してほしいスポットなどありますか?
清水 サマーソニックはここ数年でマリンスタジアム以外の野外がどんどん進化していってると思う。マリンのヘッドライナーが終わってもみんな残ってくれて、飲んだり、オカマちゃんショーを観たりしてる。あれいいでしょう。新宿2丁目が幕張に来たみたいな、あの怪しい雰囲気も僕好きなんだけど。サマソニの野外は、今年もさらにいい雰囲気を醸し出すように各ステージの担当が競っているんで、かなり面白くなるんじゃないかな?
清水 あと幕張メッセでは、僕らが今すごく力を入れているSPACE ODDっていう代官山のクラブがそのままサマーソニックの中に来て、ネクストブレイクの新人をここで一挙に見せようというステージとSPACE ODDの周りにある飲食店にも出店してもらう、“代官山猿楽町エリア”っていうコンセプトで作った新しいエリアがあるので、そこには立ち寄ってもらいたいかな。
清水 さらにキッズエリアはサーカスのパフォーマンスが加わったり、ソニックベガスも、よりラスベガスっぽくします。今のラスベガスって、EDMやDJもあって、カジノもあって、シルク・ドゥ・ソレイユもあって、要はエンターテイメントの集まりみたいな感じなんです。まさしくそういうものをここに集約して、ここをサマーソニックのベガスにしようというコンセプトで作ってるんで、ちょっと時間あるときに遊んでほしいと思います。
サマソニ上海、20周年、オリンピック…サマソニのこれから
「2020年はサマーソニックがない可能性が大きい」
ーーーサマソニ上海の反応ってどうですか?
清水 僕は記者会見で上海にも行ったけど、そのときの地元の歓迎もすごかったし、いよいよサマーソニックがアジアに出たんだっていう期待感は、ひしひしと感じたんだよね。今までアジアの国でいったらほぼ全ての国からサマーソニックをやりたいって逆オファーは受けていたんですよ。サマーソニックのブランド力を自分たちでも分かっていたからこそ、あえて簡単な気持ちでは出さないでいたんだけど、そろそろよりアジアとの交流を持つためには、サマーソニックを使って、もっと日本のアーティストを海外に出していこうっていうのが、実は裏のコンセプトとしてあるんですよ。特にLUNA SEAはヘッドライナーとしてブッキングできたんで、今までロックのマーケットがない中国だからこそ、ここで一気に日本のロックを根付かせるために勝負してみようかなと思って。
清水 今回BABYMETALにとにかく出してもらいたいって逆オファーがすごくて、すごいギャランティーを中国のプロモーターが提示してくれた。これは今後、日本のアーティストにとってすごい自信になると思うんだよね。日本のバンドが海外進出する上で、しっかりとギャランティーされて、利益につなげられるようなものが作れていくんじゃないかなと。そういうところもサマーソニックがリーダーシップを取っていけたらなと思ってます。
ーーー今年で18回目ということでもう20周年目前ですよね。さらに東京オリンピックも近いということで、今の時点で考えていることや準備していることはありますか?
清水 実はオリンピックの年のことを考えると、今はできない可能性のほうが正直大きいんだよね。じゃあ時期を変えてやるのか、それとも違う場所でやるのかっていったときに、あえて無理やりやるよりも、その年は休んでもいいんじゃないかなと思っていて、そうすると2020年はサマーソニックがない可能性が大きい。
そして来年が19回目で、さらに再来年は20周年のアニバーサリーなんで、この2年はかなり大事にしないといけないなと思っています。20周年は10周年のときのようにまた3日間やろうかっていうのもちょっと頭の片隅にあるし、そこに向けてみんなが期待するようなアーティストをちゃんと入れたいなと思ってるので、前々からしっかりと仕込んでいかなきゃいけない。
ーーーサマーソニックがお休みとなるとファンは寂しがりそうですね。
清水 でもグラストンベリーもそうじゃない。4年やったら1年休むとか、そういうことをやってるし。
オリンピック開催時期は多分ホテルは取れない、機材も集められない、アルバイトや警備の人たちもそろわない、やりたくても物理的にできないと思うんだよね。フェスティバルってただ単にアーティストがいればいいだけじゃなくて、働いてくれる人たちであったり、様々な関連するものがあってこそだから、そこが欠けたとしたら、それはやっぱできないよね。だから無理したくないなとは思ってる。
ーーーお休み、というだけで終わってしまうことはないですよね?去年末ぐらいにTwitterで「関係者がサマソニなくなるって話てた」って噂が出てたんですが…。
清水 その関係者の中では多分僕が一番詳しいから(笑)僕の言葉を信じてもらっていいと思うんだけど、2020年は休むかもしれないけど、そこで終わるということは今のところ考えていません。
ーーーよかった。最後にサマソニに参加される方、参加を迷われている方にメッセージをお願いします。
清水 18年目になって、今までのラインナップを見ると、本当にこの18年の音楽業界の流れであったり、いろんなことを思い知らされるんだよね。だから今年もまた振り返ると、「すごいな、この年このアーティストがここでやったんだな」みたいな年になると思うんです。
それに、例え1人で来てもそこには音楽もあり、おいしい食べ物もあり、様々な笑わせてくれるようなイベントや居心地のいいところもあって誰が来ても楽しめるフェスになってるので、まずは今まで楽しめた人は今年も間違いなく楽しいサマーソニックになると思うし、いまだに「フェスはちょっと敷居が高い」と思ってる人たちもサマーソニックって来てその日にそのまま家に帰れるような本当に敷居の低いフェスなんで、気軽な気持ちで来てエンジョイしてもらいたいなと思います。
text:くのまい photos:furukawa
2017年8月19日(土)・20日(日)
東京会場:ZOZOマリンスタジアム&幕張メッセ
大阪会場:舞洲SONIC PARK(舞洲スポーツアイランド)
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