【来日直前】15歳でグラストンベリーに出演!要注目の新人、デクラン・マッケンナ
英国のシンガーソングライター、デクラン・マッケンナが間もなく来日。
ティーンエイジャーながらその才能に注目の集まる彼のこれまでと、楽曲の魅力についてご紹介します。
新世代シンガーソングライター、デクラン・マッケンナとは?
今年サマーソニックで初来日したデクラン・マッケンナは現在18歳。
2014年に「ブラジル」という曲をセルフリリースしたところ、15歳の少年がこんな曲を作ったのか!と瞬く間に話題となりました。
そして2015年にはグラストンベリーの新人発掘コンテスト「エマージング・タレント・コンペティション」にもエントリー。日本で言えばサマソニの「でれんの!?サマソニ!?」やフジロックの「ROOKIE A GO-GO」的なイベントです。そこで見事優勝し本フェスに出演。それから今年まで3年連続で出演を果たしています。
さらに今年は英国BBCが発表するその年ブレイクが期待される新人リスト「Sound of 2017」に選出され、デビュー・アルバムもリリース。UKツアーやサマソニを含む世界のフェスにも出演することとなり、より一層注目度の高まった年となりました。
「世代の声」と呼ばれる理由
彼を紹介する際に使われる「世代の声」というフレーズ。なぜ彼がそう呼ばれているのかと言うと、それは彼が曲に用いるテーマやそこへ投げかけるメッセージにあります。
彼を一躍有名にした「ブラジル」は2014年に開催されたブラジルワールドカップやFIFA(国際サッカー連盟)がテーマとなった曲です。
南米一の経済力を持ちながら貧困問題を抱えるブラジル。そこで巨額のお金を投じて開催されるワールドカップに対する疑問やその傍らで起こっていた誘致を巡るFIFAの汚職について15歳の彼の視点で捉えられています。
地元の人の生活を顧みずに行われることやいい面しか報道しないメディアに怒りを感じていたそう。そして当時のFIFA会長ゼップ・ブラッターに基づいて、環境を操作する強欲なキャラクターを書いたと語っています。
社会的な問題や政治的な問題に関して15歳の少年が世界に訴えるこの曲は、それを見つめる純粋な視点と意志の強さに多くの大人がはっとさせられたことでしょう。
でも、このテーマは決して大人ぶって社会問題に切り込んだわけではありません。サッカー少年である彼にとっては身近なもの。それを背伸びすることなく、率直に彼が感じたことを上手く隠喩を使いながら表現しています。
そして「パラセタモール」は10代のトランスジェンダーの子の自殺にインスパイアされた楽曲。
その子は両親にカミングアウトをしても受け入れてもらうことができず、SNS上に自動投稿されるよう遺書を残し自殺。その投稿はネット上で拡散され大きな話題となりました。
この投稿を目にし、ひどい出来事だと感じた彼は何か行動しなくてはいけない、と思いこの曲を書いたそう。トランスジェンダーを差別する社会やそれを報じるメディアへの批判、そしてトランスジェンダーでも自分を自由に表現してほしいという彼のメッセージが込められています。
デクランの周りにもトランスジェンダーの友人がいるそう。
社会的なメッセージの曲が多いように感じますが、どれもそれは彼の身近な出来事で、同じ世代の若者にとっても同じこと。若者の視線から見えるもの、感じていることを曲にしているのです。そんな彼の存在は“若者だって社会の一員として発言していくことは特別なことじゃない”ということを同世代にも、そして大人達にも示してくれているのではないでしょうか。
理想のアーティストはデビッド・ボウイというデクラン。それに影響を受けてかステージではキラキラのアイメイクをすることも。そして、メッセージ性だけでなくジェフ・バックリー、ザ・ビートルズ、ヴァンパイア・ウィークエンドをお気に入りに上げていることにもうなずける楽曲、ポップセンスにも才能を感じさせられます。大きな可能性を秘める彼の成長には今後も注目が集まることとなるでしょう。
来日公演ではそんな彼の今の若さでしか表現することのできないパフォーマンスをお見逃しなく!