【サマソニ】チャンス・ザ・ラッパーを知るための3つのキーワード
今年のサマーソニックへの出演が発表されたチャンス・ザ・ラッパー。革命児とも言える彼のことをご存知でしょうか?
CDを販売していない彼は日本での知名度は低いかもしれませんが、今や世界中のフェスでヘッドライナーを務めるほどの人気アーティストです。
では彼がどんな人物なのか、3つのキーワードから紹介していきましょう。
キーワード①:インディペント
なんと彼はこれまで音源を販売したことがありません。
ではどうしているのか、というとフリーダウンロードやAppleMusic、Spotifyといった配信サービスでのみ音源を公開しているのです。音源の販売をしていないのでレコード会社とも契約をしておらずインディペンデント(独立)な活動を続けています。
なぜ彼がそのような活動の仕方を選んでいるのかというと“自由”のため。
今の時代は配信でもお金が入ってくるシステムが整い、SNSを使えば多くのファンを広げることが可能となりました。チャンスはそんな時代の変化を察知し、レコード会社と契約しなくてもアーティストとして活動でき、制約もなく自由な発想で音楽を作り、届けることができると感じたのです。
そんな自分のスタンスをテーマにしたのがこちらの「No Ploblem」という曲。
Chance the Rapper ft. 2 Chainz & Lil Wayne – No Problem (Official Video)
レコード会社と契約しなくたって問題ないさ!ということが歌われています。彼のこのメッセージはインディペンデントに活動する多くのミュージシャンを勇気づけ、多くの人に今の音楽ビジネスを考え直させるきっかけにもなりました。
キーワード②:グラミー賞
そんな彼の楽曲はダウンロードやストリーミングによって大ヒットします。しかし、彼の作品がどれだけヒットしても、アメリカの音楽の権威であるグラミー賞を受賞することは不可能でした。なぜなら、グラミー賞には「有料で販売された楽曲のみ」という規定があったのです。
すでに2014年には米ビルボードはストリーミングでの再生回数がチャートの集計に追加されていました。その為2016年にリリースされたチャンスの『Coloring Book』は初登場8位を記録し、ストリーミングのみの作品として初めてビルボード・アルバム・チャートでトップ10入りを果たします。
.@ChanceTheRapper's chart debut is the latest streaming milestone in a year full of them https://t.co/q3jfC1t7GU pic.twitter.com/sRno7htPmW
— billboard (@billboard) 2016年5月23日
それほどのヒットを見せてもグラミー賞の受賞資格がないとされていた彼は「HEY, WHY NOT ME?(ねぇ、なんで俺じゃないの?)」と意見広告をビルボード誌に掲載。多くの人もその意見に賛同し、ファンによる署名運動も行われました。
Like everything he does, @chancetherapper's Grammy consideration ad in the new @billboard is not like the others pic.twitter.com/mRrqnbP3gw
— Frank DiGiacomo (@frankdigiacomo) 2016年10月6日
結果、第59回グラミー賞の規定が変更!チャンスもグラミー賞受賞資格を手に入れたのです。
さらにチャンスは7部門にノミネート、授賞式では新人賞を始め3部門で受賞を果たします。これまでのシステムを変えるだけでなく、しっかりと結果を残す彼の姿はさらに多くの人の心を掴んだことでしょう。
授賞時の様子とスピーチがこちら。
家族や仲間、シカゴへの感謝とインディペンデントに活動することは「一人」という意味ではなく仲間と「自由」に活動するという意味だと話し、最後には勝利を宣言するとても胸を打たれるスピーチでした。
キーワード③:シカゴ
彼のことを語る上で欠かすことができないのが出身地であるシカゴの話。
シカゴは殺人事件発生率の非常に高い地域で、チャンスは目の前で友人を失うという悲しい事件を経験しています。『Coloring Book』に収録されている「Summer Friends」という曲は亡くなった友人のことを歌う曲です。
Chance The Rapper – Summer Friends Live on GMA
戦争中のイラクのようだということからシカゴ+イラクで「シラク」と称され、殺人件数も年々増加していたシカゴ。そんな地元の現状を打破するべくチャンスは様々な働きかけをします。
アメリカ大統領選の時には若者の投票率を上げるべくフリーコンサートを開催し、そのままその場にいるお客さんたちと投票所までパレードを行いました。
Chance the Rapper leads hundreds of young voters to long early voting lines downtown so they can cast their ballots: https://t.co/rhnWdcFV6W pic.twitter.com/kURCV0peYr
— ABC 7 Chicago (@ABC7Chicago) 2016年11月8日
また、シカゴの公立学校への予算が公約通りの額を確保されなかったため、シカゴの公立高校に1億円を寄付し、州へ抗議。寄付プロジェクトも立ち上げ、220万ドルの寄付金を集めました。
彼のこういった活動は今なお続けられています。
また彼の所属するクルー「SaveMoney」の他のメンバーの活躍も後押しし、シカゴの音楽シーンが注目を集め、少しずつこれまでのシカゴのイメージを払拭し始めています。依然として高い数値ではあるものの、それまで増加していたシカゴの殺人件数は2017年には約15%も減少しました。
そして彼が行動を起こすのはシカゴの問題だけではありません。自ら主催したライブのチケットをダフ屋に買い占められた際には、そのチケットを自腹で買い戻し、再びファンのために販売したというのも驚かされる話です。
I took back almost 2k #MCD tix from fuckboy scalpers and made them into physicals. And these are just floor seats pic.twitter.com/EaFfoFeuIA
— Chance The Rapper (@chancetherapper) 2016年9月9日
色々と不満を言うのではなく、まず自らが行動を起こして訴えかけるのが彼のやり方。ここで紹介した以外にも地元やライブ、SNSと様々なところで行動を起こし、影響をあたえています。
地元の問題だけでなく、社会の様々な問題にもその行動力で立ち向かう彼の姿はヒーローそのもの。常に弱き者の立場を忘れず、音楽を愛し、世界にポジティブなメッセージを届けてくれるのです。
そんな彼が今年サマーソニックで初来日。『Coloring Book』は普段ヒップホップは聴かない、という人におすすめできる作品です。ぜひチェックしてニューヒーローのステージを思い切り楽しみましょう!
2017年8月18日(土)・19日(日)
東京会場:ZOZOマリンスタジアム&幕張メッセ
大阪会場:舞洲サマーソニック大阪特設会場
<関連リンク>
SUMMER SONIC 2018
>音楽の本体について何も語ってないなあ。
>一番大事な。
この記事は「チャンス・ザ・ラッパーを知るための3つのキーワード」という題でありそれに準じた内容をわかりやすく解説してるんだよ。気になったら自分で聞くといい。百文は一聴にしかず。
音楽の本体について何も語ってないなあ。
一番大事な。