【サマソニ】絶対的な存在感!ロックの女王、セイント・ヴィンセントの魅力

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サマーソニックに出演するセイント・ヴィンセント
昨年約3年振りとなるアルバム『マスセダクション』をリリースし、今年はコーチェラ、パノラマ、ロスキルドなど海外の大型フェスに出演が決定。変わらぬ人気ぶりを見せつけています。

では、なぜ彼女が「ロックの女王」と呼ばれているのか、その魅力を紐解いていきましょう。

圧巻のライブパフォーマンス

セイント・ヴィンセントはアニー・クラークのソロプロジェクト。昨年のサマーソニックでホステス・クラブ・オールナイターにヘッドライナーとして出演したことも記憶に新しいことでしょう。

Photo:Kazumichi Kokei

映像をバックに一人ステージで演奏するという実験性を持ちながらも、エンターテイメントとしても優れた演出。その美貌や堂々とした佇まいは圧倒的でレオパード柄の衣装もステージに映えていました。
詳しいライブレポートはこちら

Photo:Kazumichi Kokei

Thank you, Tokyo!

St. Vincentさん(@st_vincent)がシェアした投稿 –

彼女のステージは炎が出たり、スモークが焚かれるなどのド派手な演出ではなく、アイディア性のあるステージの見せ方で観るものを魅了していきます。

過去のライブでは日本人のバンドメンバートーコ・ヤスダと2人で踊りながらプレイ。決して派手な振りではないのにとても印象に残るステージです。

St Vincent – Bring Me Your Loves @ Outside Lands Fest 8.07.15

また、ヒールで客席にダイブしたりとロックなパフォーマンスを見せていたこともありました。こちらの映像ではヒールでステージの骨組みによじ登り、落ちそうになる場面も!バックバンドの演奏も相まってカオスな雰囲気がより夢中にさせられます。

St. Vincent – Your Lips Are Red @ ACL 2014

現在のツアーはステージにバンドメンバーはおらず、アニーが一人でパフォーマンスすることがほとんど。
パワー、セックス、危険な関係、死などの「権力」や「人を飲み込んでしまうような影響力」という今作のテーマがステージを作り上げる上でも大事な要素となっているように感じます。

熟練したギターテクニック

彼女を語る上では欠かすことのできない魅力の一つである、ギタープレイ。海外メディアでは”21世紀最初の正真正銘のギターヒーロー”と評され、アーニーボール・ミュージックマン社からシグネチャーモデルのギターが発表されるなどギタリストとして確固たる地位を確立しています。

昨年はシグネチャーモデルの限定カラーが全世界で数本のみ生産されました。なんと日本に入荷したのはたった一本だけ!

彼女はスフィアン・スティーヴンスポリフォニック・スプリーなどのバンドメンバーとして活動した後、ソロアーティストとしてデビューしました。

彼女のギターはエッジのある不協和音、歪み、ペダル使いといったワンパターンにならない音作りと、淡々と歌いながらも変則的なフレーズを弾いてしまうテクニックで唯一無二のプレイをみせてくれます。そしてギターがとてもよく似合う。

Best Guitar Parts/Solos St. Vincent (Annie Clark)

こちらは先日、インスタグラムで公開していたパール・ジャムの「Tremor Christ」のカバー。アコギでしっとり聴かせる歌も魅力的です。

“Tremor Christ” warm up in Asheville.

St. Vincentさん(@st_vincent)がシェアした投稿 –

アーティストからの支持も厚く、サマーソニックのヘッドライナーであるベック、天才シンガー・ソングライターのボン・イヴェールなどとコラボを果たしています。

Never Tear Us Apart – Beck

Bon Iver & St. Vincent – Roslyn

また、巧みな腕前だけでなく、作品ごとに変化しながらも一貫してギターを携え続けるその姿も「ロックの女王」と呼ばれる所以でしょう。

独特のアートワーク

セイント・ヴィンセントと言えば、ポップで毒があるアートワークも忘れてはいけません。MVはシュールで時にブラックユーモアに溢れており、毎回楽しみにしているファンも多いのではないでしょうか。

「Cruel」

「Cruel」ではスーパーマーケットで誘拐され、父子家庭の母親にされたあげく、最後は庭に埋められてしまうという、タイトル通り残酷なストーリーながら終始カメラ目線のアニーがシュールさを出しています。

「Digital Witness」

グラミー賞のベスト・オルタナティヴ・ミュージック・アルバムを受賞した『St. Vincent』では黒髪からシルバーにイメージチェンジし「近未来の新興宗教の教祖」を演出。

「New York」

最新作のアートワークのコンセプトはマニック・パニック(躁鬱病)。目のくらむようなヴィヴィッドカラーが基調とされています。「New York」ではPitchforkが選ぶ『2017年の年間ベストMV』の8位にランクインしました。

「Pills」

こちらも最新作に収録されている楽曲。近未来を舞台に「麻薬中毒の主婦」と「狂ったマネキン」が登場します。ポップなスタイリングがされていますが、よく見るとブラックユーモアの効いたMV。

「Los Ageless」

「Ageless(不老)」への執着を皮肉ったこの楽曲のMVでは美容整形をテーマに。シニカルな楽曲の内容に対して、包帯に巻かれたり、ヒョウ柄全身タイツといったアニーのポップな衣装がいいバランスを生んでいます。

MV、衣装など彼女のアートワークはしっかりとしたコンセプトを持っています。その現代アートのようなアートワークはまさに彼女のハイレベルなセンスによるもの。
近年は映像作品を手がける仕事も増え、活動の場は映画界にも広がっています。

映画監督デビュー作品は女性監督たちによるホラー短編集「XX」の一編「バースデー・パーティー(原題)」。監督、脚本に加え、音楽も担当しており、日常とダークファンタジーが交錯するようなミステリアスさが彼女らしい作品。

「Exclusive Horror Anthology XX Clip “Party” – Annie Clark (St. Vincent)」

ちなみに上記の映像で使われている、洋式トイレの衣装を着てライブを行ったことも!
それはドラマー、マット・ジョンソンの息子の治療費を集めるためのベネフィット・コンサートでのステージ。彼女の持つこのユーモアセンスはアートワークの中でも大事な要素です。

美しく、セクシーでありながらキッチュでポップ。あえてシニカルさやユーモアで毒を持たせることで彼女にしか見せることの出来ない独特の世界観が出来上がるのです。

ギターテクニック、独自のサウンド、他を寄せ付けないアーティスト性、全てを併せ持つセイント・ヴィンセントには、やはり「ロックの女王」という言葉がふさわしいでしょう。また、そんな逸材がインディ・ロックが勢いを失い始める中でグラミー賞受賞など世界の注目を集めたことで、その名は確かなものとなりました。

その女王が昨年のワールドツアーの幕開けとなったステージから1年ぶりにサマーソニックで再来日。今年は最新作の楽曲と世界観をたっぷりと見せてくれるのではないでしょうか。女王の圧倒的なステージをお楽しみに!

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SUMMER SONIC 2018
2017年8月18日(土)・19日(日)
東京会場:ZOZOマリンスタジアム&幕張メッセ
大阪会場:舞洲サマーソニック大阪特設会場

<関連リンク>
SUMMER SONIC 2018

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