サマソニ20周年、清水社長インタビュー「レッチリが決まった時点で光がパッと差した」【前編】
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今年20周年を迎えるということで注目のラインナップが続々と発表されているサマーソニック。そこで主催であるクリエイティブマンの清水社長にインタビュー!前編ではヘッドライナーや各アーティストのブッキング秘話について伺いました。
ヘッドライナーブッキング秘話
ー今年は20周年ということでヘッドライナー、その後第1弾の反響も凄かったですね。
清水 そうだね。20周年だから今までと違うことをやりたかったのと、ヘッドライナーが凄く強力だったので、J-WAVEと組んで1日1組ずつ発表するやり方を今回トライしてみたんだ。思いのほか1日ずつの反響が大きくて1日目のレッチリ、2日目のB’zと行って「よし、3日目だ!」ってところでフライングになる…というオチがついた(笑)。
ーヘッドライナーは3組とも出演が決まったのは早い段階だったんですか?
清水 まず、ザ・チェインスモーカーズは昨年6月の来日公演の際に、その凄まじいライブ後の興奮のままに「サマソニのヘッドライナーやらない?」っていうことを言ったんですね。実際彼らは、3年前サマソニのビーチ・ステージで出演してくれて、そのとき彼らはメインステージを見て「絶対ここでやってやる」っていう目標を持っていてくれた。だからヘッドライナーの話をしたら本人達が凄いやる気になってくれて。そこからエージェントとしっかりと話を進めて、正式に決まったのは多分秋ぐらいだったかな。
ー2018年のサマソニが終わってすぐだったんですね。
清水 そう。それからB’zになぜオファーしたかというと、元々20周年で初めて日本のアーティストにヘッドライナーをやってもらうというコンセプトがありました。だとしたら、今までの偉大な歴史を含めてB’zにやってもらいたいと、早い段階からマネージャーにアイディアを出していて二人からもいい反応だと聞いていた。そして去年のサマソニの前にはやるという意思表示は貰ったんだよね。でも、いろんな細かい打ち合わせをしつつ、本当にしっかりと決まったのは12月ぐらい。だから去年のサマソニ終わってすぐくらいには、3つのslotの2つは決まっていたという状況でした。
ーでは一番最後に決まったのがレッチリなんですね。
清水 もう1つはサマソニと親和性もある世界の大物アーティストということで、レッチリ、コールドプレイ、グリーン・デイ、この3つの中からというのは決めていて、グリーン・デイとコールドプレイには、実はもう数年前からそういう話をしていたんだよね。
ーサマソニに来てほしいアーティストとしていつも名前が上がりますね。
清水 ただ、グリーン・デイもコールドプレイも今年の活動は未定。何のスケジュールもない中で、この両アーティストを動かすのは、アーティストだけじゃなくて周りの50人以上のクルーも関わってくるから、これはもう多分不可能だなと諦めたのが去年の秋。それで、もうレッチリしかないと思い、直接マネージャーのピーター・メンチに「とにかくミーティングをやってくれ!」と伝え、彼のミーティング出来る日を確約して、すぐにニューヨークに飛びました。
ピーターは凄いロックを大事にしていて、2013年にメタリカとミューズがヘッドライナーの時も両方のマネージャーでもあって、日本で洋楽ロックを殺さないためにはどうしたら良いのかっていうことを、いろんな人に訴えていた人なんだ。だから、まず僕は「クリエイティブマンはサマーソニックを20年やることで、日本の洋楽シーンを支えて来たし、伸ばすために頑張ってきた」ということを伝えて、20周年としてレッチリが一番オーディエンスが求めているアーティストだから、どうにかチャンスをくれないかということを彼に強く訴えたことで、大きい岩が徐々に動いていった…という感じだよね。
ーやはり海外の大物アーティストの説得というのは大変なんですね。
清水 大変だけど、やりがいがあるよね。ただお金だけじゃなくて、こちらの気持ちを聞いて動いてくれるし、僕らがやってきた歴史はしっかりと重んじてくれるから。だから本当にレッチリが決まった時点で、今年の20周年に光がパッと差した感じがしたよ。
これまでにキーとなったアーティストの出演
ー他にも20周年ということで、サマソニに縁のあるアーティストの出演が色々と決まっていますよね。
清水 今までヘッドライナーをやったアーティスト以外にも、キーとなるようなアーティストで、初期に出てくれた人は呼びたいと思っていたんですよ。なので、まず1年目に出てくれたアーティストで鍵になるのはウィーザーだなと。あの時はグリーン・デイがヘッドライナーだったけど、実はウィーザーが活動休止からの待望の復活ってことで、グリーン・デイと同じぐらい反響があって、裏ヘッドライナー的な立ち位置のアーティストだったんだよね。だから、まず彼らに出てもらうことで、1年目の空気をここに持って来ようと思ってました。
清水 次に2年目に出てくれたランシドはサマーソニックもそうだし、クリエイティブマンがパンク/メロコアというものを日本で位置付けてきた中で、グリーン・デイ、オフスプリングと並んで凄くキーになるアーティストだったので、彼らにも出てもらいたいと思ってラインナップしました。サマソニに出るのは、かなり久しぶりなんだよね。
ーあとはゼッドも近年のサマソニのキーとなるアーティストだなと感じました。DJとしてスタジアムを沸かせた2015年はすごく印象に残っています。
清水 ゼッドはサマーソニックの中でDJがいずれヘッドライナーをやるだろうというのを位置付けたアーティストだよね。プラス、本当に日本が好きで毎年いろんなことで来てくれるので20周年にはやはり欠かせない存在かなと思って。あと、ザ・チェインスモーカーズが決まった時に、二枚看板的に「これでもか!」って言うようなダブルヘッドライナーを一緒に出そうと思って、チェンスモとゼッドでこれでもう最後、叩き付ける感じですね(笑)。
ーゼッド、ザ・チェインスモーカーズは同じステージでの出演ですか?それとも違うステージでそれぞれヘッドライナーとなるのでしょうか?
清水 日本では同じぐらいの人気なんだけど、一応ザ・チェインスモーカーズがヘッドライナーでゼッドがその前、という並びで出す予定です。流石にそれぶつけちゃったら、かなり意地悪だよね(笑)。
ー 最多出演であるゼブラヘッドがこれまた記録を更新しにくるという…。
清水 ここは自分の気持ちというよりも、「彼らがいないと絶対20周年じゃないだろう」ってもう周りの雰囲気に踊らされた感じで(笑)。バンドも楽しんでいる、ファンも楽しんでいる、で、ブッキングする自分ももう楽しんでいるからね。ある意味、お決まりのこともここに入れておかなきゃいけないなと思って。彼らはこれからもきっと最多出演の記録を更新していくんだと思います。
要注目の新人アーティストは?
ーサマソニといえば新人枠という点でもこれまで数々のブレイクアーティストを輩出しているのでそちらも要注目ですよね。
清水 1年目はコールドプレイ、シガー・ロスなんかが新人で出ていたからね。去年だとビリー・アイリッシュとトム・ミッシュ、その前の年はデュア・リパといったアーティストがどんどんブレイクして行って、今年の中からもきっと何年か経って「わっ、これ見逃した」というアーティストが出て来ると思うから、そこは本当逃さずに目を光らせていてほしいところです。
ーでは、今年清水社長が推したい新人はどなたですか?
清水 サム・フェンダーは、今後ブレイクを期待しているアーティストかな。最近は女性アーティストが大きくなることが多かった中で、久し振りに男性アーティストで底が知れない可能性を感じるのがサム・フェンダーだと思います。あと女性アーティストの流れで言うと、今年はグレース・カーターが今後R&Bの世界の中で大きくなって行くんじゃないかな。実はエラ・マイも一度決まったけど発表前にキャンセルになってしまったんだ。その分彼女に期待したいし、UKからそういうアーティストが出て来る確率が高いので、そこは期待しているところですね。
ータッシュ・スルタナという日本での知名度が低い彼女がラインナップしたのは嬉しかったです。去年のコーチェラは素晴らしいステージだったので。
清水 僕も同じで、コーチェラで観て「次に呼びたいアーティストだな」と思って。どのフェスでも絶大な人気でその空間にこれほどマッチしたアーティストもいないからね。そういう海外で人気があるけど日本での知名度が低いアーティストはギャランティーのギャップがあるから単独で呼ぶのは難しいよね。でもそこで頑張れるのがフェスティバルだから。ロバート・グラスパー、FKJもそういう意味で頑張ったね。
ーぜひそこは頑張っていただきたいところです!
清水 あとはブロックハンプトンも去年のコーチェラで観て、「これは絶対来年ブッキングしよう」って思って入れたアーティストですね。コーチェラはその年よりもその次の年ぐらいのことまで考えてブッキングすることが出来るので毎年行ってますよ。今年もどんな出会いがあるか楽しみです。
後編へ続く
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— AndMore!@サマソニ参戦 (@AndMoreFes) 2019年5月13日