CAZZETTE

最近の彼らのサウンドを聴く限り、朝方4時にピッタリなDJプレイを見せてくれるのではないかと思っていました。案の定、だいぶ癒される内容でしたね。ディープ・ハウスとプログレッシブ・ハウスの真ん中を射抜くようなスタイル。欲を言えば、マウンテン・ステージのようなオオバコではなく、中規模の会場で聴きたかったですね。CAZZETTEの時間帯は、「ステージ」というよりも「フロア」と言ったほうが良さそうな雰囲気でした。

しかし、彼らがただで気持ちよくさせてくれるはずもありません。「Blind Heart」も「Sleepless」もかけてくれましたが、どちらもリミックス。しかもメチャクチャかっこいい!BPMも125ぐらいなので、なかなかのテンポですね。疲弊しきった足腰に鞭打ち、上手く言葉にできない快楽に酔いしれておりました。最後にRobin Sの「Show Me Love」を繋ぐという、一切妥協しない職人気質なところも渋いです。Clean Banditを意識してのプレイでしょうか。

CAZZETTEにもお客さんにも、そこはかとなく不完全燃焼の感が漂っていたので、また別の機会に観たいですね!EDMにもハウスにも振り切れる柔軟性を持っているので、日本国内でも引く手数多だと思います。

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DILLON FRANCIS

ポーター・ロビンソンのパフォーマンスを見終わってから、走ってディロン・フランシスのもとへ。

「そんなに慌てるなよ」とばかりに、彼らしいコメディタッチな世界観が迎えてくれました。スクリーンに映し出される擬人化キュウリが、「F**k Dillon Francis!」とか言ってます。映像は全体的にコストパフォーマンスが良さそうでしたね。ディロン節が満載な演出、僕は好きです。

一口にEDMと言っても、現在のシーンは実に多様化しています。その中で、トラップ系のトラックメイクがかなり流行っていますね。今回のディロンのプレイは、そんなトレンドのド真ん中を突き進むような内容でした。代表曲の「Get Low」がそもそもトラップ寄りではありますが、実際の彼のパフォーマンスは更にディープです。そのあまりにも重い低音に、内臓を鷲づかみされました。もちろん「Get Low」も繋いでくれましたが、だいぶケオティックな様相でしたよ。バックストリート・ボーイズの「I Want It That Way」をここで持ってくるのですから恐れ入ります。「おふざけキャラ」が定着して久しいですが、本来の意味で遊び心に長けた人なんだと思います。ラストの曲が盟友であるDJ Snakeの「Turn Down for What」だったことも、そこから来ているだとすれば大いに納得できますね。

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FACT

RAINBOW STAGEのトリを務めるのは、年内で解散することを発表しているFACT。

始まる前のモニターには、前回サマソニ出演時の様子やメンバーのインタビュー動画が流されており、会場は映像を見ながらFACTの登場を待ちわびる人でいっぱいになっていました。

「最後のサマーソニック全力で楽しもうな〜!」

FACT最後のサマソニ1曲目からFACTらしい迫力満点のステージが展開されます。そんなもんじゃねぇだろお前ら!!と力強い演奏にオーディエンスも拳を挙げて応えます。

ステージのスクリーンにはCLAPの文字が表示され、会場全体が拍手に包まれる中「ape」が演奏されると、RAINBOW STAGEはさらに大盛り上がりを見せます。

「この時間後悔したくないんだよ。お前らまだ行けるだろ!?」とバックスクリーンの映像と演奏が上手い具合にコラボしたステージ上で「slip of the lip」が流れると今度はスクリーンにjumpの文字が映されます。オーディエンスが一斉にジャンプして起きるフロアの揺れと演奏がまた会場の温度を高めていきます。

「思い出がたくさん詰まったフェスに最後出させて頂いてありがとうございます!」と最後に向けてさらに激しさを増します。休む暇もない渾身のパフォーマンスが続き、最後「a fact of life」で会場は一体感に包まれ、フロアには踊りだす人も居て、今日1番の盛り上がりを見せました。

「バンドやっててよかった。みんなで歌って欲しいんだ!」とアンコールでは「FOSS」を披露しました。

FACT解散前、最後の大きなステージであるサマソニでのパフォーマンスを見届けようと詰めかけたファンにとって、今日は最高のステージになったのではないでしょうか。

 

 

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MACKLEMORE & RYAN LEWIS

まずライアン・ルイスとホーン隊がステージに登場し、ピアノの美しいメロディと4つ打ちのバスドラムがマリンステージに響きはじめます。続いてマックルモアが登場し、「Ten Thousand Hours」がスタート。晴れた青空の下にホーンのが気持ちよく広がります。

2曲目は「Thrift Shop」!この曲に参加しているワンズも登場し、マックルモアの饒舌なラップやホーン隊のサウンドに、オーディエンスは大合唱で答えます。途中、ライブ仕様のアレンジも加えてテンションはどんどん上がっていきます。

「Some Love」では、ただでさえ涙腺の緩むメロディに加え、バックモニターに映し出された家族の映像がさらに感動を呼び、会場中で涙を流す人が。他にも、曲に合わせた映像が効果的に使われていて、上質なライブパフォーマンスが繰り広げられました。

ラストはスタンド席の観客も総立ちで「Can’t Hold Us」!暑い日差しのなか、みんな一体となり「Na na na na na na na na!」を笑顔で叫びます!マックルとライアンもこの盛り上がりにご満悦の様子で、ステージをあとにしました。

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MARMOZETS

フジロックでは、ロイヤル・ブラッドが驚きと熱狂をもたらしましたが、サマソニのサプライズ枠はマーモゼッツだと思います。UKでは様々なジャンルから才能ある新人が出てきますね。下火になりつつあるハードロック界隈で、彼らのような存在は非常に重要です。往年のロッカーたちに負けず劣らずの、バイタリティに溢れたライブでした。

1曲目の「Move, Shake, Hide」から飛ばしまくり。前置きなんてモノは一切ありません。ベッカ嬢のシャウトが冴え渡ります。喉に労働基準法があれば、彼女は真っ先に訴えられることでしょう。ステージ上を所狭しとかけまわり、惜し気もなく魂の叫びを聴かせてくれます。さながら、「休まないパティ・スミス」。始まりから終わりまで、ずっとこのテンションでした。抜群の美貌を全く有効活用しない姿も素敵です。それがむしろ強烈に色気を感じさせました。「Captivate You」では神々しさすら覚えましたね。恍惚とフラストレーションが混在するような表情。しばらく記憶の中に居座り続けそうです。

ラストを飾ったのは、やはり「Why Do You Hate Me?」。オーディエンスの盛り上がりも青天井です。もう終わりに差し掛かっているタイミングで全く・・・。またすぐにでも彼らに会いたいです。

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PORTER ROBINSON

この人を表現するのに、もはや「親日家」という言葉では足りませんね。ここまでくれば立派な「知日家」です。恐るべきサブカルモンスター。インスパイアされた先にあるモノの輪郭がはっきりとしており、なおかつそれに対して凄まじい愛情を持っているのも分かります。子供の頃、街中ですれ違っているのではと思うほど、シンパシーを感じるステージでした。

日本アニメのテーマソングやゲーム音楽を、惜しげもなくサンプリングしています。ゼルダの伝説の「嵐の歌」を使ってくれたのは、本当に嬉しかったですね。何の違和感もなく「Sad Machine」に落とし込んでいました。彼のストーリーテリングの巧みさも手伝って、この時点でだいぶ涙腺を刺激されておりましたよ。何より驚いたのは、やなぎなぎの「春擬き(はるもどき)」を「Divinity」とのマッシュアップで使ったことですね。これがもう、最高にクールでした。今や星の数ほど存在するアニソンマッシュアップの中でも、群を抜いてクオリティが高いと思います。さらに、彼のオタク魂が煌めくのは音楽に限ったことではありません。VJがスクリーンに映し出す映像も極めて日本的でした。80年代~90年代に一世を風靡したドット画でストーリーが紡がれるかと思いきや、突如登場するモダンなアニメ。そのどれもが日本人の琴線に触れるものです。これだけ日本を愛してくれると、僕たちも全力で応えたくなりますね。

17日(月)、リキッドルームにてポーター・ロビンソンの単独公演があります。ソニックマニアでのパフォーマンスを見逃した方は、ぜひチェックしてみて下さい。

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KREWELLA

はい。この美人姉妹には色々ありました。2014年の末に「Say Goodbye」という曲を発表しましたが、音楽的にも、これまでの彼女たちのサウンドとは明らかに異質です。以前からメタルっぽいところはありましたが、この曲ほど表立ってはいませんでした。イントロのリフレインからだいぶ尖っております。ああ、もしかしたら彼女たちは本当に分岐点に立っているのかも、などという想像を巡らせておりました。

そこで今回のソニックマニア。なんとDJ(BtoB)+バンドセット。いよいよ確信に近づきつつありますが、ここは落ち着きましょう。ライブを観る前に妙な先入観を持ってしまいます。正体がよくわからない不安を抱えつつ、いざクリスタル・マウンテンへ・・・。

圧巻。「Helter Skelter」で幕を開けた彼女たちのショーは、生歌全開でひたすらエモーショナルでした。まさしく激情。続く「Live For The Night」では、観客のボルテージも最高潮に達しておりました。バンドサウンドがよく効いているんですよ!ノイジーなギターと、超絶パワーヒッターなドラムが彼女たちを支えていました。姉妹によるBtoBも見事です。Dyroの「Wolv」など、こってりしたEDMをかけたかと思えば、Blurの「Song 2」のようなロックナンバーを挟んできます。果てはハードスタイルにまで及んでいましたね。こう書くと「ごった煮ミックス」のようにも見えますが、不思議な統一感はありましたよ。肝心な「Say Goodbye」はと言うと、やはり一際バンドサウンドが映えていましたね。唸るギター!ドラムは乱打乱打!もう止まりません。ニュー・クルーウェラの誕生を目撃したような気になっております。

個人的には、今回のソニックマニアのベストアクト。

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THE PRODIGY

会場にサイレンにもにた警戒音が鳴り響きながら暗転すると、ステージのバックに現れたのはニューアルバム『The Day Is My Enemy』のジャケットにもなり、MVの中では人を獣に変えてしまうあの赤いキツネの姿の大きなプリント。何とも言えない顔でオーディエンスをじっと見つめています。

「オマツリ、トーキョー!」と現れた、リアム、キース、そして毛皮のフードを被ったマキシム!そして初っ端から「Breathe」をかまし、「Nasty」、「Omen」といったPRODIGYならではの名曲を立て続けに演奏。観客は激しく体を揺らして踊りながらも、満面の笑みを浮かべているという、まさに狂宴といった様子です。

「The Day Is My Enemy」では、本人たち以前インタビューで答えていた「ピュアな暴力的エネルギー」を、体で理解させられました。テンポこそ以前よりスローな曲でしたが、重いサウンドのひとつひとつが内蔵にえぐるようで、体の内部に荒々しい音が詰め込まれるような気分になります。

その後も「Voodoo People」、「Invaders Must Die」と、オーディエンスが休む間も与えないセットリストを披露で会場のテンションは上がりっぱなしに!「Medicine」ではマキシムが全員を床にしゃがませ、同時に天高くジャンプ!それで何かが弾けたのか、何かに取り憑かれたように全員が踊り、会場が揺れます。

その後、しっかりアンコールも披露。さらに進化したTHE PRODIGYのサウンドを体に植えつけられライブでした。

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BLUE ENCOUNT

「どうもWHITE ASHです。のび太君じゃないわ!」とリハでは笑いを誘っていましたが、ライブが始まるとその雰囲気は一転し、「サマーソニック3年目のブルエンのBLUE ENCOUNTです。よろしく!」の声と共にアツいパフォーマンスが幕を開けます。

1曲目は「アンバランス」からスタート。早くもRAINBOW STAGEは一体感に包まれます。2曲目の「DAY×DAY」ではオーディエンスを誰一人として置いていくことのない、ここにいる全員でライブを作り上げているそんな空気が出来上がっていたように感じます。

続いて「LIVER」では夏っぽいことをしようと、全員でタオルを回しさらにアツいステージになっていました。「NEVER ENDING STORY」ではモニターに映るオーディエンスの顔がとても良い顔をしているのが印象的でした。

そして会場は静まり、この曲だけは聴いて欲しいと「もっと光を」のワンフレーズが歌われた瞬間、会場から大歓声があがります。

「あなたの居場所になってみせます。頼む俺らと一緒にいてください。来年も一緒に帰ってこよう。」と語った後の「もっと光を」の大合唱を聴き、さらに大きくなって来年サマソニに帰ってくることを予感させると共に、ずっと応援していきたいなとファン全員が思った瞬間だと感じました。

「3年前不安でいっぱいのままステージに立った。でも今は自信を持ってここに立っている。この時間後悔させないからよろしく。」の言葉通り、この時間RAINBOW STAGEを選んで心からよかったと思うステージでした。

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Kodaline

コーダ・ライン(Kodaline)は2013年にサマソニに登場して以来、2年ぶりのサマソニです。

2年前、彗星のごとくサマソニのソニックステージに現れた彼らはまだまだ無名だったにもかかわらず私たち観客の心をがっちりとつかんで去って行きました。

あれから2年。彼らはさらなる成長を遂げてモンスターバンドに成り上がっていたのです。

今回は今年リリースされたアルバム『Coming Up For Air』を引っさげての登場です。今作は前作『In a Perfect World』の美しい旋律に加えてエモーショナルさが加わったアルバムとなっています。

ステージが始まると観客からは手拍子が巻き起こりました。

一曲目は『Coming Up For Air』より「Ready」です。希望に満ち溢れたメロディラインと夏らしい爽やかなサウンドは序盤から観客の心を鷲掴みでした。

続いて同アルバムから『Love Like This』を演奏。マンドリンを用いた爽やかすぎるサウンドに観客はうっとりでした。

激しい音楽ではないのにあまりの曲の美しさに観客たちのテンションがあがってしまい早速会場の雰囲気は大盛り上がり。そんな観客たちを見てボーカルのスティーブも「ジャパンサイコーー!」と嬉しそうにしていました。

その後『Way Back When』、『One Day』など前作のアルバム曲を披露した後、ここで代表曲『High Hopes』。

私は2013年のサマソニでこの曲を初めて聞きましたが、そのとき聴いていたらなぜか自然と涙が流れてしまった思い出があります。

そのくらい人を惹きつける力のある曲です。とくにその威力はライブで発揮されます。

今回も本当に感動的な演奏でした。今回も自然と涙がながれてしまいました。とても綺麗で繊細なメロディラインが私の心をつかんで離しませんでした。

前回と大きく違った点は観客たちがこの曲をよく知っていて一緒に大合唱をしていたということです。この2年間で彼らがどれだけ成長したかを感じることができました。

8曲目に演奏された「Honest」はドラマティックなメロディラインとちょっと工夫されたコード進行がとても印象的でした。「速」と「遅」をうまくつかさどっていました。

最後に演奏された名曲「All I Want」では観客から鼻をすするような音が聞こえてきました。みんな涙が流れてしまったようです。

激しいサウンドではないのにもかかわらずこんなにも観客たちを熱くさせてしまうのは、あまりにも美しすぎるからでしょう。

コーダ・ラインは音源でも十分その美しい音楽を味わえますが、やはりライブでその威力を発揮するバンドであると私は思います。

彼らは私たちに約束しました。「また日本に来る。」と。その言葉を信じてまた彼らの美しいサウンドを体感できる日を楽しみにしたいと思います。

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