【主催者インタビュー】頂 -ITADAKI- 主催・南部雄亮「楽しむコツは“廃油とキャンドルを持ってくること”」
“10年”は特別なことじゃない
ーーー今年のラインナップの見どころはどんなところでしょう?
南部 今年は図らずしも男臭くなっちゃったんですよ(笑)。アーティストに関しては代表と話し合って決めています。Robert Glasperは「頂 -ITADAKI- 」のお客さんも好きだと思うので、いつか出てほしいってずっと言ってて。でもそれでいったら、「頂 -ITADAKI- 」らしいのは、DUBSENSEMANIAと犬式の復活じゃないですかね。発表したときも、犬式とDUBSENSEMANIAの反応がすごかったんですよ。ツイッターとか犬式だらけになってましたから。
ーーータイムテーブルの方はどうですか?
南部 代表がタイムテーブルを作る中で、例えるならDJというか1日の流れを考えて作っています。「頂 -ITADAKI- 」でこだわってるキャンドルタイムというのは、会場になっている公園内の全部の電気を消すんです。舞台監督さんが、袖で使ってる電子時計とかあるんですけどそれも隠すし、楽屋も全部消す。ひとつのステージに、それだけお客さん、スタッフ含めて集中することってないじゃないですか。そうすると何かが起こるというか。そこは「頂 -ITADAKI- 」が大切にしてる時間で、その後はド派手にいこうかとか。
ーーー1日の中で緩急を考えていらっしゃるんですね。
南部 あともう一個大事にしてるのが、ムーンステージですよね。「頂 -ITADAKI- 」は家族連れが多いので、夜はアゲアゲにしたくないんですよ。もうね、みんな静かに寝ましょうっていう。ムーンステージはサブタイトルで「ミッドナイトランディング」ってついてるんですけど、例えば去年はゴンチチさんが出演してくれたんですが「ゴンチチさん、寝かせてください!」って感じでオファーしましたもん(笑)。今年も奇妙礼太郎さんの弾き語りとかも、静かに休んでいただきます。Marterというシンガーソングライターも寝かせるにはもってこいです。さんざん騒いだんだから、次の日もあるしもう休もう、みたいな。でもそうすると、事故とかも少ないんですよ。
ーーー確かに遅くまで飲んだりしていると次の日に響きますからね。
南部 そうなんですよね。実は、次の日、日曜日の朝イチもすごい大事にしてて、スタートからドカンとあげちゃいけないんですよ。あがる時は必然的にあがってくるんで、まずはみんな落ち着いて深呼吸して、朝、背伸びでもしながら、ゆっくり音楽に慣れていこう、みたいな。朝イチのアーティストにオファーするときも、持ち時間はそのアーティストに決めてもらうんですけど、コンセプトとして「最初の何十分はひたすらチルアウトな音楽を奏でてください。残りの20分ぐらいはあげてください!」ということを伝えています。
ーーーそれをアーティストの方がちゃんと理解してくれて協力してくれるんですね。
南部 伝えるって大事で。それはお客さんにもアーティストにも一緒で、何年やってもこっちが伝わってると一方的に思っても伝わってないなって事はあるので、伝えるための努力を惜しまずやらないといけないと思います。
ーーーそういう努力があったから10年続く大きなイベントになってるんですよね。
南部 でも僕ら10年ってあんまり気にしてないんです。余裕なくパツパツで一生懸命やってるんで、常に必死なんですよ。常にマックスでいこうと思ってるんで、10年だから特別に何かやろうと思ってなくて。外からは「10周年だね」っていわれるんですけどね。
ーーーやっぱり10周年となると周りは何か特別なことを期待しちゃいますよね。
南部 だから最初、代表が「全てのビジュアルから10消す?」っていうぐらいまで言ってました。僕もすごいプレッシャーになっちゃって(笑)。「10周年でスペシャルゲスト呼びます!」とかできないっす。勘弁してください(笑)みたいな。毎年一生懸命やってるし、自分らの身分だと10周年であろうと特別なことできないし、キャパも決まってるし、ちっちゃい企業だからやれることって決まってるし。
お客さんの笑顔を見る喜び
ーーー「頂 -ITADAKI- 」にお客さんで参加したいと思うことはありますか?
南部 僕はお客さんで行くより、裏で働いてるほうが好きです。
ーーーその魅力ってどんなところでしょうか?
南部 きれいごと言ってるわけじゃないですけど、「頂 -ITADAKI- 」でいうと家族連れも多いし、そういう人たちが笑顔で帰ってくれてるのを見るだけで「ああ、よかったな」って思うんです。その瞬間がほんと好きなんです。
ーーーでは最後に今年参加される方にメッセージをお願いします。
南部 それぞれのスタイルで楽しんでいただきたいと思います。「頂 -ITADAKI- 」はこうだよって、決め事もないし。ただその中で、チケットと一緒に廃油とキャンドルは持ってきてほしいです。それがもう一歩、「頂 -ITADAKI- 」を楽しむための必須アイテムかなと思います。