今年のサマソニは原点回帰!クリエイティブマン清水社長インタビュー【後編】

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豪華ラインナップで話題となっている今年のサマーソニック。

主催であるクリエイティブマン清水社長へのインタビュー、ラストとなる後編はソニックマニアの裏側や来年の20周年へ向けてのお話です。
また最後には、清水社長から先日亡くなったアヴィーチーへの追悼文と、
サマソニファンに向けた読者プレゼントがあります。

<これまでのインタビュー【前編】【中編】

大満足間違いなしのソニックマニア

ソニマニ

ーーー今年ソニックマニアのラインナップの豪華さはすごいことになってますよね。

清水 マイ・ブラッディ・ヴァレンタインとナイン・インチ・ネイルズはソニックマニアを始めた当初からコンセプトにドンピシャだから絶対に呼ぼうと思っていたんです。今回は2アーティストを同時に呼べたのは大きいよね。
マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの『Loveless』は一生聴き続けられる名盤で、あの91年は本当にすごい年だった。『Loveless』だけじゃなくてティーンエイジ・ファンクラブの『Bandwagonesque』、プライマル・スクリームの『Screamadelica』があって、ニルヴァーナからマッドハニー、パール・ジャム、サウンドガーデンといったグランジ・バンドも立て続けに…。クリエイティブマンもその前年にスタートしているし、一番思い入れのあるバンドがいよいよソニックマニアに来てくれるっていうのは、感慨深いところですね。

ーーーそれほど思い入れのあるバンドだったんですね。

清水 そう。それからナイン・インチ・ネイルズは2000年の1月に一番最初に日本へ呼んだんだけど、実はその時ちょうど「サマーソニック」となるフェスの名前を考えていた時期で、NKホールのライブの後の夜に飯を食いながら考えてたんだよね。「サマー」っていうワードは絶対に使いたいなって思っていてそこに続く言葉を色々と並べて、最終的に「ソニック」っていうのがすごく響きがいいなって決めたんだ。その日のライブの余韻が影響していたんだろうな。
その後サマーソニックが始まってナイン・インチ・ネイルズは伝説的でとてつもないステージを2回もやってくれた。そういう意味でも鍵を握るアーティストだし、それが今度はソニックマニアに来てくれる。オールナイトのステージでまたどんな伝説が生まれるのかとっても楽しみです。

Nine Inch Nails
SUMMER SONIC 2009 Nine Inch Nails

ーーーあれはサマソニの歴史に残る凄まじいステージでした。これは今年も雨降りますかね?(笑)

清水 ソニックマニアなら室内だから、そこはもう安心かな(笑)。それを求めてる人もいるかもしれないけど…。そんなこと言うと大阪のサマーソニックが心配になってきた。

ーーーそこへさらにブレインフィーダーとのコラボステージもあるという。

清水 これはブレインフィーダーというか、まずは数年前からビートインク(レーベル&プロモーター)と何か一緒にやろうと話をしてたんですよ。それで、今年ソニックマニアにマイ・ブラッディ・ヴァレンタインとナイン・インチ・ネイルズが決まったっていう話を社長のレイ・ハーンにしたら、彼も「おっ、それはいい」と…。やっぱりクリエイティブな人間だから「このブッキングだったら何か出来るな」っていうのは鼻が利いたんだと思います。それでレイの方から「じゃあブレインフィーダー、フライング・ロータスのセットでどうだ?」っていう話をもらって、こちらは願ったり叶ったりで「やろう」と。
ただこれにはもう一つ話があって、去年ショバリーダー・ワンが出演した時に機材トラブルがあったの覚えてます?

ーーー航空会社による不手際で機材が届かなかったやつですね。

SHOBALEADER ONE
SONICMANIA 2017 SHOBALEADER ONE

清水 そう、全部が飛んだ。彼らの機材は独自に開発されたもので、自分の物でないと無理なところを残された時間の中でビートインクと僕らのスタッフが機材を掻き集めてプログラミングしたことでショーを実現出来たんです。そのことにアーティストも感動してくれたし、実際ショーもすごく盛り上がった。結果、ビートインクも「ソニックマニアってすげえな」って思ってくれたみたいで、その流れから「じゃあ来年は何か一緒にやろう」っていう話をしていたんです。彼らも「エレクトラグライド」を立ち上げたチームだから、メッセのオールナイトには思い入れもあると思う。

ーーーあの事件が繋がってくるとは驚きです。

清水 裏ではね(笑)。ただ、ブレインフィーダーのステージをやろうとなって、そこにジョージ・クリントンかサンダーキャットのどちらかが来てくれればいいなって思っていたけど、その両方が来てくれるっていうのは予想外のサプライズだし、ここでもう今年のソニックマニアの成功を確信したよね。トレント・レズナーとケヴィン・シールズとジェームス・ラベルも合わせて、これだけの天才が一同に会すなんて滅多にあり得ないことだから、日本からのコーネリアス、電気グルーヴも含め素晴らしい夜になると思いますよ。

ーーーブレインフィーダーのアーティスト同士のコラボとかもありますかね?

清水 中身は全て彼らに任せてます。間の転換中にも音が途切れないようにDJやビジュアルも考えているみたいだから。そしてマシュメロやプチ・ビスケットに加えてクリーン・バンデットがでるステージも盛り上がること間違いなしだから、更にオーディエンス大満足の夜になるんじゃないかな。さらに、elrowっていうスペインで始まった海外パーティーのステージも展開するんでDJステージとの親和性もより出てきますよ。

ーーーそれはまたより一層豪華な夜になりそうですね。elrowってどんなパーティーなんですか?

清水 elrowは絶えず大量の紙吹雪が舞っている中で皆が一つのテーマの中で踊っていて、スーパーDJがいなくても楽しめるようなパーティーなんです。仮装して誰もが一緒になって馬鹿になれるような…ちょっとハロウィンに似てるかな?これは昨今のVIPがあってシャンパン飲んでる…みたいなものとは全く違うもっとチープで温かいパーティーだから、今のEDM中心のダンス・フェスへの新しい提示になるのかなと思ってます。これを出来るだけ早く日本に持ってきかったんだよね。既にいろんな国で行われていて、グラストンべリーなどフェスティバルの中でもステージを展開してる。それをソニックマニアでやるっていうのは新しいチャレンジだし、また面白い1ページになるのかなと思います。

Elrow
elrow(Shots by NACHTSCHADUW)

ーーー日本でそういうパーティーを体験できるのはとっても楽しみです。

清水 彼らに一番大事なのは何?って聞いたら「コンフェッティ」って言うんだよ。コンフェッティって紙吹雪のことで、紙吹雪が一番大事なんてどんなフェスだよ?!って最初思ったんだけど、最高だよね(笑)。それがスペインはバルセロナの田舎から生まれたフェスティバル感、手作り感とすごくマッチしているんだ。

ーーー紙吹雪、お掃除大変そうですね(笑)。

清水 大変なんだよ(笑)。そういうことも含めて今プロダクション・チームが頭を悩ませてるところなんだけど、チキンの被り物のキャラクターが練り歩いてたりやりたい放題。会場にもレギュレーションがあるから果たしてどこまで実現可能か?でも「ライブ観たかったのにいつの間にかelrowで過ごしてた」みたいなパワーのあるステージになると思うんで、これから現地のチームといろいろ楽しく練っていく予定です。

30年を目指して

ーーー来年は20周年を迎えますが、社長の中で何か来年のサマーソニックのビジョンはありますか?

清水 やはり10周年の時と同じで、3日間やろうということは考えてます。なぜかというと、20周年ってなると海外のアーティストも日本のアーティストも、セレブレイト的に祝ってくれるし、だったら出ようかって話がもらえるから。そこを考えるとブッキングとして3日間分ぐらいが必要じゃないかなと思う。

SUMMER SONIC 2009

あとは20周年の総括として、いくつかストーリーも考えながら当たってるアーティストもいて、その辺りが決まれば非常に納得出来るものになるんじゃないかな。まあその通りにならないのがブッキングなので約束は出来ないけどね。それに今までになかったサプライズや取り組みも未来に向けて提示していきたい。
とりあえずこれは今年が終わってからですが、これからも30年を目指して日々精進しようと思います。

ーーーではこの先もサマーソニックを続けていくにあたって、社長自身は現在の音楽シーンをどのようにご覧になっていますか?

清水 中国はサブスクリプションサービスが普及して音楽業界自体がガラッと変わったと思うし、アジア全体がその作用でいろいろ変わってフェスにも影響してくるでしょう。未だにアジアではコーチェラやグラストベリーよりも、サマーソニックやフジロックが身近でバリューがあると言ってくれる。だから日本のブランドが魅力的なうちにアジアで勝負しないといけないと思うんだよね。日本のアーティストがアジアに出る紹介にもなりたいし。

ーーーなるほど。

清水 あとは、最近では一番興味深いのは「プレイリスト」かな。Spotifyやいろんなところに自分達がサマーソニックのプレイリストを作るということもあるけれど、逆にファンが自分達でプレイリストを作って、それを世界でシェアするっていうのは今までにない文化だし、行く人もまた楽しみになる。さらに、行かないつもりだった人がそれをチェックしたりして行きたくなる。今までの“自分でCDを買いに行って、それを自分が楽しむ”っていう所有する文化から、もっとオープンになったということがプラスの作用を生んでくれるんじゃないかな。そういうことも踏まえて、この時代に合ったフェスティバルの在り方も今後は学んでいきたいです。

ーーーそういった新しいサービスとも協力し合えるといいですね。

清水 今、サブスクリプション・サービスって呼ばれてる会社が日本には8社ぐらいあるけど、それがフェスにもサポートとして参入してくれているんです。でも、例えば「1社独占でやりたいし他のシステムは排除して」みたいになると、時代としてそれはやっぱり違うよなって思うんだよね。マーケットや世界から日本に来てくれる人々がいることを考えるとサマソニやフジロックみたいな洋楽フェスって業界全体で応援してもらいたいなって思うし、組む会社とは更に+α、音源や映像とか、何か特別なものを一緒に作りながら協力し合えることを模索していきたいと話をしています。以前は日本以外の海外に向けてYou Tubeでのストリーミングもトライしたけれど、そういった時代感は失わないようにいろいろ取り組んでいきたいですね。

ーーーでは最後に、今年のサマーソニックへ参加するお客さんへメッセージをお願い致します。

清水 今年のサマーソニックはブッキングとしては非常に満足出来るものに出来ました。あとはどれだけ観たいアーティストを観られるんだっていうところは、僕らも同じ気持ちになってタイムテーブル作りに挑みたいと思います。東京は野外と屋内の移動は更にバスを増加させます。野外3ステージ間と屋内4ステージ間の移動は、大型フェスではかなり近い方だから各自のコツをつかんで下さい。
あと、大阪は4つのステージ間の移動も含めてすごく観やすい充実したものに出来ると思っています。大阪のプロモーターも頑張って今までの暑さやバスの問題とかも改善の努力をしてくれているし、サマーソニックの根を途絶えさせない為にやらなきゃいけない事は皆も認識しているので、今年はまた楽しみにしていてください。
ということで、ぜひ今年のサマーソニックに世界中から参加してもらいたいなと思います。

【追記】
コーチェラでの金曜の朝にAviciiが亡くなった訃報が入ってきました。翌日のKygoのショウではAviciiの映像と共に、一番好きな曲だと「Without You」が流されました。彼のライブを初めてみたのもコーチェラで、いつか復活してくれたらサマーソニックのヘッドライナーをオファーしようと思っていたのにかなわない夢となりました。ただ3度のキャンセルで折れかけていた中で、次は日本だけはキャンセルしないと誓って本当に来てくれた事に感謝しています。日本のファンの心に刻まれる出来事になったし、彼も友達をたくさん引き連れて観光もしたりして、日本ツアーは楽しんでいました。昨年のチェスターの時も思いましたが、ライブという瞬間は次にまた必ず訪れるとは限らない出会いなので、大事に作っていかないといけないと改めて感じています。
 

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